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新しい青色有機発光ダイオード

June, 23, 2023, Karlsruher--有機発光ダイオード、OLEDは、そのエネルギー効率と柔軟性が特徴。しかし、青色OLEDsの製造に課題が存在する。これらは、これまで発光と安定性が欠如していた。
カールスルーエ工科大学(KIT)と上海大学の研究チームは、効率的なディープブルーOLEDs製造のための新戦略を開発した。特殊製造された新しい分子により、電子励起を用いた2チャネルの分子間/分子内励起錯体発光が可能になり、これによりディープブルーエレクトロルミネセンスが可能になる。研究レポートは、Science Advancesに発表された。

OLEDsは、すでに多くのスマートフォン、タブレット、大型スクリーンTVsに使われている。付加的バックライティング不要であり、柔軟基板で動作する。これによりフレキシブルなディスプレイ、可変ルーム照明ソリューションが可能になる。OLEDは、2つの電極で構成されている、少なくともその一つが透明である。その間に有機半導体の薄い層がある。発光は、エレクトロルミネセンスからのものである。電界が印可されると、カソードからの電子とアノードからのホールが有機材料に注入され、エミッタとして機能する。そこで、電子とホールが結合して電子ーホール対を形成。これらは、次に元の状態まで減衰し、有機材料が発光に使用するエネルギーを放出する。全ての色は、ブルー、グリーン、レッドの3色の混合によって生成される。

ブルーカラーの問題
これまで、レッドとグリーンの色だけが、商用アプリケーションではリン光OLEDs、つまり長寿命の発光として利用できた。ブルーカラーは、短く発光する蛍光OLEDsとして利用できる。ブルーOLEDsでは、高効率、高輝度、長寿命の両立が難しい。ブルーピクセルは、グリーンやレッドピクセルよりもぼんやりと光り、速く減衰する。Institute of Organic Chemistry (IOC) およびInstitute for Biological and Chemical Systems – KITのFunctional Molecular Systems (IBCS-FMS) の研究者は、上海大学の研究者とともに、高効率で安定したディープブルーOLEDs製造の新しい戦略を開発した。

研究チームは、シリコン原子を介したカルバゾールとトリアジンフラグメント(CzSiTrz)で構成される新しい分子を作製した。その分子がナノ粒子に結合すると、分子内電荷移動発光と分子間励起錯体発光が電子励起により起こり、デュアルチャネル分子内/分子間励起錯体発光になる。「ディープブルーエレクトロルミネセンスが励起錯体により達成可能なる。電子供与性カルバゾールフラグメントが、相互に独立に調整可能となるからである」。

新しいOLEDsは、高い量子効率と高輝度を達成
チームは、次に、記録破りの外部量子光率、20.35%を達成しディープブルーOLEDs実現に成功した。外部量子光率は、発生する放射パワーと供給電力の間の関係を示唆している。さらに、これらOLEDsは、高輝度5000カンデラ/㎡(cd/㎡)を達成している。知覚可能なブルーは、CIEの標準カラーチャート座標0.157/0.076 である。「分子の簡単な合成と、成分の簡単な製造は、新世代の効率的で耐久性の高いディープブルーOLEDsに道を開く」とBräseは、説明している。
(詳細は、https://www.kit.edu)