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DUV発光ダイオード(275 nm)の初期劣化メカニズムを解明

May, 23, 2023, 仙台--波長280ナノメートル(nm)以下の深紫外線(DUV光、UV-C光)には、殺菌・消毒による水・空気・表面の浄化や各種物質・反応過程の光励起などへの応用の道が広がっており、消費電力が高い水銀灯タイプの殺菌灯を低消費電力のLEDに変えることができる。
窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を発光層とする波長260~280 nmのLED(DUV LED)は多くのメーカーから市販されている。しかし、使用開始から数十時間で光出力が20~40%も減少することが課題となっている。

東北大学多元物質科学研究所の秩父重英教授と嶋紘平准教授は、豊田合成株式会社ライフソリューション事業本部、名城大学理工学部との共同研究において、DUV LEDの初期劣化の原因を明らかにした。すなわち初期劣化の原因はLEDの物理的な劣化ではなく、結晶成長時にAlGaN電子ブロック層中に取り込まれた水素(H)により不活性化されていた「空孔型点欠陥クラスタ」が、LED駆動中の電界によってHが引き剥がされることにより活性化し、電流損失を引き起こすためであることを明らかにした。従って、元々傷が少ない結晶成長を行う、かさぶたが取れないようにする等の工夫により、DUV LEDの長寿命化・高信頼性化が期待できる。

研究成果は、応用物理学分野の専門誌Applied Physics LettersのDUV光源特集号招待論文として2023年5月17日付で掲載された。
(詳細は、http://www.tohoku.ac.jp)