June, 25, 2014, Ann Arbor--白熱電球の効率はわずか5%であるが、リン光有機発光ダイオード(PHOLED)は、注入電流の100%を光に変えることができる。
PHOLEDは、スマートフォン画面やムード照明には適しているが、明るく光らせようとすると効率も寿命も劣化する。ミシガン大学の研究チームは、この問題を回避する簡潔な方法を見いだした。PHOLEDをピラミッド状に配置することによって可能になる。
高効率であるのでPHOLEDはすでにスマートフォンディスプレイ市場の多くを奪い、さらにTVや環境照明にも入り込もうとしている。しかし読書や細かい仕事など、高輝度照明が必要になる場合、問題に直面する。高輝度に光らせなければならなくなると、PHOLEDの効率と平均寿命は鋭く落ち込むからだ。こうなるのは、LEDを明るくする簡単な方法が大電流で駆動することであり、これが有機LEDにとっては過酷であるためだ。
新しいデバイスは、この問題に巧妙な解があることを実証している。PHOLEDは本来反射的であるので、内側表面をピラミッド状に配置すると、二重の目的に使える。PHOLEDは、ピラミッドの底の開口部から光を放射し、そこから出る光を集光する。
光を放射する表面積は、ピラミッド底の開口部よりも4倍以上大きいが、底のサイズで同じ輝度にして方形PHOLEDを駆動しようとする場合と比べて、この設定の消費電力は約3倍少なくなった。
この集光器は、単純なパネルと比べると優れた配光を達成しており、中央に明るいスポットを作り配光範囲の端に行くほど暗くなる設定よりも表面が均一に輝いている。
ピラミッド構造は、フラットな構成と比べて、同じ電流で3倍高輝度になった。この研究のリーダー、電気工学教授、Stephen Forrest氏によると、ピラミッドの端と点を伸ばしてシャンパン・フルートに近い形状にすると、光集光度はさらに高まり、フラットなフィクスチャに比べて輝度は7倍、あるいは10倍にもなる。
PHOLEDsの課題としては、光の一部がデバイスから出る前に熱に変換されること。実験室レベルのPHOLEDは、白熱電球の約4倍の効率だが、効率は10倍以上になりうると研究チームは見ている。