June, 2, 2020, Saudi Arabia--窒化物結晶からピュアな赤色発光ダイオード(LEDs)を造ることは、これまでエンジニアが達成できなかった目標である。しかし、この種の電球は、OLEDディスプレイに続くエネルギー効率のよい次世代microLEDディスプレイの構築や、色をチューニングできる照明の作製には極めて重要である。今回、KAUSTのチームが、このような赤色LEDsの作製に初めて成功した。
「エンジニアはすでに、様々な材料を使い、多様な色を生成する明るいLEDsを造ることができる。しかしディスプレイ技術を改善するためにはエンジニアは、3つの主要な色のLEDs、赤、緑と青をワンチップ上に統合しなければならない」とKAUSTエンジニア、Daisuke Iidaは説明している。つまり、3色すべての製造に適した一つの材料を見つける必要がある、と言う意味である。材料は、高強度の各色を作り出すことができなければならない。理想的には、高出力であるが、必要なバッテリ電圧は相対的に小さくなければならない。
全3色の生成にベストの候補は、窒化半導体と言われる化合物ファミリである。これらは、窒素を含む結晶であり、理論的には、全可視光を含む紫外と赤外の間の波長の光を生成する。エンジニアは通常、青と緑のLEDs作製にはGaNを使うが、この結晶で明るい赤色LEDsの作製には苦労していた。「赤色はほぼ不可能だった。他のグループは、リンゴの赤ではなく、オレンジの生成にしか成功していない。今回、われわれは、ピュアレッドLEDsを実現する結晶成長システムを開発した」(Kazuhiro Ohkawaグループリーダー)。
ガリウムの大きな部分をインジウム元素で置き換えることで所望の赤色は得られるが、それは難しい。インジウムは結晶から簡単に気化するからである。したがって、研究チームは、その結晶表面上に余分なインジウムガスを持つ化学反応炉を作った、有機金属気相成長法として知られるプロセスである。この圧力増は、結晶内のインジウム漏れを防ぐ。これによりわれわれは表面で高濃度インジウムが得られる。これがわれわれの秘訣である」とOhkawaは説明している。
しかし、克服すべき別のハードルがあった。インジウムは、ガリウムよりも大きな原子でできているので、それを導入すると結晶に欠陥ができ、出力光の品質が劣化する。チームは、小さな原子であるアルミニウムを加えた。「小さな原子の導入により結晶の歪は減少し、結果的に結晶欠陥が減少した」とIidaは話している。
「もう一つの利点は、そのLEDsが、競合LEDsの約半分の電圧で動作することである。これによりバッテリの寿命が延びる」とOhkawaは説明している。
(詳細は、https://discovery.kaust.edu.sa)