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KAIST、フレキシブル垂直MicroLEDを開発

February, 7, 2018, Daejeon--KAISTの研究チームは、異方性導電フィルム(ACF)ベース移動とインタコネクト技術を使って、フレキシブル垂直LED(f-VLED)を開発した。チームは、f-VLEDの光遺伝学的刺激を使って動物の習性をコントロールすることにも成功した。
 フレキシブルmicroLEDは、次世代ディスプレイの強力な候補になっている。超低消費電力、高速応答速度、優れた柔軟性を特徴としているからである。しかし、これまでのmicroLED技術には重大な問題があった。デバイスの効率が低く、熱的信頼性が低く、高解像度microLEDディスプレイのためのインタコネクション技術がなかった。
 研究チームは、新しい移動(transfer)技術を設計し、f-VLEDアレイ(50×50)を作製した。これには、同時トランスファ、ACFボンディングプロセスの精密アライメントによるインタコネクションを利用した。これらf-VLED(厚さ5µm、サイズ80µm以下)は、光出力密度(30mW/㎜2)が、横方向のmicroLEDの3倍を達成し、薄膜LED内の発熱を減らすことで熱信頼性と寿命も改善した。
 これらf-VLEDは、ニューロン細胞や脳の振る舞いを制御する光遺伝学に適用可能である。脳のニューロン全てを活性化する電気刺激と対照的に、光遺伝学は、脳の局所的皮質領域の特定の興奮性ニューロンあるいは抑制性ニューロンを刺激することができる。これは、動物の脳の精密な分析、高解像度マッピング、ニューロン調節を容易にする(著者のACS Nanoの論文参照: “Optogenetic Mapping of Functional Connectivity in Freely Moving Mice via Insertable Wrapping Electrode Array Beneath the Skull.”)。
 今回の研究では、研究チームは、画期的なf-VLEDを頭蓋骨と脳表面の間の狭いスペースに挿入し、脳表面下深くにある2D皮質領域の運動ニューロンを照射することにより、マウスの動作を制御することに成功した。
 材料科学・工学部のKeon Jae Lee教授は、「フレキシブル垂直microLEDは、ローパワースマートウォッチ、モバイルディスプレイ、ウエアラブル照明に利用可能である。さらに、これらの光電子デバイスは、生体医用アプリケーションにもに適している。例えば、脳科学、光線治療、コンタクトレンズバイオセンサなどだ」とコメントしている。
 同氏は先頃、microLED技術をベースにしたスタートアップ会社(FRONICS Inc)を設立し、商用化に向けて世界的なパートナーを探している。
研究成果は、Nano Energyに、“ Optogenetic Control of Body Movements via Flexible Vertical Light-Emitting Diodes on Brain Surface ”のタイトルで発表された。
(詳細は、www.kaist.ac.kr)