October, 14, 2022, NY--旭化成株式会社は、小型UVC(深紫外線) LED流水殺菌器「Klaran WR」の開発品の検証試験において、LEDを殺菌用光源として利用した流水殺菌器が水銀灯の殺菌効率(同じ消費電力あたりの流水殺菌能力)を75%以上上回ることを実証した。
「Klaran WR」は、グループ会社Crystal IS, Inc.(Crystal IS)が製造・販売する窒化アルミニウム基板(AlN)を用いた長寿命で高出力の殺菌用UVC LED「Klaran」を使用した流水殺菌器。
従来、殺菌用光源には水銀灯が一般的に用いられてきたが、健康被害や環境負荷が懸念される水銀の利用については「水銀に関する水俣条約」が2017年に発効され、世界的に規制が強化されている。一方、LEDは水銀を使用せず、小型・軽量であり、設計自由度など複数の点でメリットがあるものの、殺菌能力やエネルギー効率には課題があった。
旭化成は世界最高水準の発光効率を持つ次世代UVC LED「Klaran LA」(開発中製品)を搭載した「Klaran WR」の改良品を制作し(開発品)、既存水銀ランプを用いた流水殺菌器と開発品の間で、殺菌能力に関して比較検証を行った。
検証結果
開発品と同じ消費電力を持つ水銀灯(6W定格)を用いた市販の流水殺菌器を用い、水道水を利用するときに想定される数量(8リットル/分、265nm波長における透過率97%/cm)で2分間流水した後の殺菌能力を比較した。対象とする菌については、身の回りに存在する菌としてグラム陰性通性嫌気性桿菌である大腸菌(NBRC番号:3972, 濃度約106CFU/ml)を用い、LRV(logarithmic reduction value)で2以上上回る性能を示すデータを取得した。これは大腸菌の残数において、開発品が水銀灯を用いた殺菌器の1/100以下にできたことに相当する。
なお、今回の結果は、一般的な評価方法が確立していないため、旭化成が検討した評価方法により測定したものである。評価試験については外部機関にて行った。
これまでのUVC LED(発光効率1~5%)は水銀灯(発光効率20~40%)と比較して発光効率が低いため、同じ消費電力では流水殺菌能力が低くなるのが一般的。しかし、旭化成のもつ光学設計と流体設計の技術による流水殺菌器の性能向上と、発光効率が向上した同社のKlaran LAを使用することにより、消費電力が同等の水銀灯を用いた流水殺菌器の性能を上回るUVC LED流水殺菌器の実現に成功した。
(詳細は、https://www.asahi-kasei.com)