August, 19, 2021, Taipei--TrendForceのレポート「2021 Mini/MicroLED自発光ディスプレイトレンドとサプライヤ戦略分析」によると、TV向けMicroLEDチップ年間売上は、2021-2026年の期間にCAGR 250%で、2025年には34億ドルに達する見込である。
この成長は主に、ディスプレイメーカーによる大型ディスプレイにMicroLED技術を採用する初期計画によるものである。この技術の法外なコストは、短期的には克服できそうにないが、TrendForceは、複数の要素を考慮して、上記の売上を予測している。第1に、MicroLED技術は、ギャプレス、大型モジュラーディスプレイを可能にする。第2、、MicroLED技術を特徴とするディスプレイは、シネマグレードディスプレイ、ハイエンドTVsの基準を満たす。最後に、韓国TVブランドは、MicroLED TV開発に積極投資している。
TV市場リーダーSamsungは、2018年、“The Wall”と適切に名付けた146-インチTVウォールを発表した。同社は、継続して大型モジュラービデオウォールとMicroLED TVs (サイズは75-inch、110-inch、219-inch、および292-inch) を毎年CESで発表している。TrendForceは、MicroLED TVsが広く商用化される前に、TVメーカーか技術障壁とコストの両方に関して課題に直面し続けると指摘している。特に、これら3つの領域におけるブレイクスルーは最も注目に値する。MicroLEDチップ、バックプレーン/ドライバー、大量移転。
コストに関して、MicroLEDチップは、MicroLED TV製造コストの最大シェアを構成する。またその継続する高価格は、3つの要素に起因する。まず、TV製造で膨大な数のチップが使われること。例えば、4K解像度TVでは、2488万のマイクロエルイデップが必要。二番目に、MicroLEDの微小サイズのために、その製造工程は、波長の均一性、クリーンルーム粒子カウントに関して極めて厳しい要件を必要とする。最後に、MicroLEDチップは75µm以下であるので現在のPL技術はMicroLEDチップの欠陥を完全に検出できない。したがって、バックプレーンへのチップの物質移転プロセスの難しさが増大している。
バックプレーンとドライバー技術に関して、パッシブマトリクスと組み合わせたPCBバックプレーンは、相対的に成熟したソリューションであり、P > 0.625mmピクセルピッチディスプレイでは優先的な選択となっている。しかし、MicroLED TVsでは、相対的にサイズが小さいが、同じ解像度を維持するので、そのピクセルピッチは、0.625㎜に縮小し、PCBバックプレーン開発で課題が出始めている。線幅や線間隔、両方とも量産に制約を課し、製造コストを押し上げる。逆に、LTPSアレイと組合せたTFTガラスバックプレーンは、MicroLED ディスプレイ電気回路を正確に制御、駆動できる。このタイプのアクティブマトリクス(AM)装備バックプレーンは、したがって、今後、MicroLED TVsの主流技術になると見られている。
バックプレーン開発におけるもう1つの技術課題はガラスメタリライゼーションである。ディスプレイがますます高解像度になるにしたがい、モジュール間では、それに応じた小さなギャップが必要となる。従来のCOF(chip on film)デザインはもはや実行可能ではないので、代わりにメーカーは、TFTガラスの表面に配線を引き回す、横から、またはTGV(through galss via)プロセスを通して、このいずれかである。この配線を達成するためにメーカーは、ガラスメタライゼーション技術を使う必要がある。しかし、ガラスメタライゼーションに関してまだ多くの技術的ボトルネックが残っている。低収率や高コストなどである。したがってメーカーは、産業が前進するにしたがい、これらの障壁の克服に取り組まなければならない。
製造プロセスに関して、MicroLED開発の主要な障害は二重になっている。物質移転とテスト/修復である。個々のMicroLED TVで使われる2488万のMicroLEDチップが、物質移転収率、製造時間、テスト/修復工程に膨大な要求を課している。現在、業界の優勢な物質移転技術は、ピック&プレイス、レーザトランスファ、流体アセンブリ、磁気物質移転、ロールベース移転、ウエファボンディングで構成される。それぞれの移転技術の採用は、ディスプレイ製品の解像度、移転するMicroLEDチップのサイズに依存しており、これらの技術の各々は、製造能力、収率、製造装置コストに対するそれ固有の影響をともなう。それが、MicroLED製造ラインが、高度な複雑性をともなう理由である。TrendForceは、MicroLED TV製造における物質移転プロセスは、少なくとも2000万UPH(一時間当たりの数)、幅広い商用リリースで99.999%の収率達成が必要であると見ている。