September, 6, 2017, Lyon--Yole Développementのレポート「量子ドット&広い色域ディスプレイ技術」によると、短中期的にベストの位置にあるのは、OLED、さらにナローバンドフォスファLEDあるいはバックライトユニットのQDカラーコンバータで強化され、すでに地位を確立して支配的なLCD技術である。
量子ドット(QD)は、ディスプレイ色域を劇的に強化することができる。QDは高効率であり、ディスプレイメーカーは、消費電力を増やすことなく、輝度、コントラスト、色域を強化できる。最も一般的な実装は、LCDバックライトユニットにある色変換フィルムとしてである。この形態では、QDは、ドロップインソリューションとなり、プロセスの変更やCAPEXなしで全てのサイズのディスプレイに簡単に導入可能である。したがって、QDによりLCD業界は、主要投資なしで製品の性能を向上させることができる。この点は、OLEDと対照的である。OLEDは数十億ドルの専用工場を建設する必要があるからだ。
とはいえ、QDによって解決されないLCDの欠点が残る。主に、LCDは、応答時間、ブラックレベル、視野角に関してOLEDに後れを取っている。また、LCDはピクセルレベルのディミングができない。これはOLEDディスプレイの最強のセールスポイント。近い将来、QDはLCDカラーフィルタを置き換える。フィルムと違い、この構成は、LCD製造で一定の工程変更を必要とする。しかし、ディスプレイの効率は倍増、色域向上、視野角はOLEDと同じになる。長期的には、EL-QDは、輝度と安定性が向上し、OLED的な特性とパフォーマンスを提供できる。
ヨールのDr Eric Vireyは、「QDとその関連技術は、OLED TVの製造能力制約を利用できる」と指摘する。
現在、LG Displayが唯一のOLED TVパネルメーカー。同社は、LCDへの投資を止め、韓国と中国に2つの新規OLED TV製造ラインを建設、2019年後半に製造開始、と発表している。参入へのコストと技術障壁は高く、その時間フレームではOLED TVパネル製造ができる他社はほとんど存在しない。大型フルRGBディスプレイをコスト効果よく製造できるようにOLEDプリンティング技術が進歩しなければ、OLED TVは2022年まで、製造能力は年間1200万以下にとどまる見込みである。
QDは、この絶好のチャンスを利用して、WCGとHDR TV市場で最大のシェアを確保することになる。急速に改善する性能と低下するコストにより、すでに中ベル、1000ドル以下のモデルで普及が進んでいる。これは、コストと製造能力のために、OLEDがまだ対応できない大規模市場を開く。ディスプレイメーカーはQDを使って、既存のLCD工場からさらなる価値を引き出し続ける。長期的には、多くのメーカーが両面作戦をとり、RGBプリントOLEDとEL-QDの両方を見ている。
中期的には、QDCF構成は、視野角でOLEDとのギャップを埋め、色域と効率でギャップを広げる魅力的な機会となる。しかしQDCFは、ある程度LCD製造工程の変更が必要とする。新しいOLED工場と比べると大したことはないが、全てのLCDメーカーが必要なCAPEX、あるいはその技術の開発に取り組むとは限らない。
長期的には、OLEDとQD強化版LCDの両方が、新たな、ディスラプティブ技術との競争に直面することになる。例えば、すでに言われているエレクトロルミネセントQD、micro-LEDである。これらはパラダイムシフトを起こす可能性があり、自己発光型ディスプレイ技術でOLEDの代替となる。他の技術革新も、QD市場を破壊する可能性がある。例えば、ナローバンドグリーンフォスファの商用化は、フォスファとQDフィルムの性能差をなくし、よりコスト効果の優れたソリューションを可能にする。
(詳細は、www.yole.fr)