December, 11, 2015, Boston--ラクスリサーチ(Lux Research)によると、偏在する液晶ディスプレイ(LCDs)が市場シェアを失うにともない、有機LED(OLED)に牽引された上位新興ディスプレイ技術市場が、2020年には約3倍の210億ドルに達する見込みだ。
OLEDはモバイル機器では、スモールフォームファクタ(小型)での性能向上で、明白な利点があり、2015年の620万ドルから成長して150億ドルの市場を形成すると予測されている。スマートフォンだけで130億ドルを占めると見られている。OLED市場は、AppleがiPhonesやiPadsでOLEDを採用すれば、260億ドルに成長する。また、OLEDメーカーは、一段とコストを下げて採用を拡大することになる。
「新興のディスプレイがLCDsの限界つけこむと、ディスプレイ産業は細分化される」とラクスリサーチのアナリスト、Tony Sun氏は見ている。さらに同氏は、「業界サプライヤは、個別技術の要求に適合するために、製品ポートフォリオを多様化する必要がある」と分析している。
ラクスリサーチは、従来のLCD市場シェアに最も影響を与える新興のディスプレイ技術を評価し、個々の市場を定量化した。
・量子ドット(QD)は最速成長セグメント。テレビでの採用に後押しされてQD LCDsは最速のディスプレイ技術となり、2020年には10倍以上、53億ドルに達する見込み。市場環境がもっと有利であれば、その市場は110億ドルに成長する。
・フレキシブルOLEDは、22億ドルに達する見込み。フレキシブルOLEDは、スマートフォン、スマートウォッチだけでなく、TV、タブレット、バーチャルリアリティ・ヘッドギアにも使用され、2020年には8倍規模に成長して22億ドルとなる。しかし、この市場の92%は固定デバイスに組み込まれたフレキシブル基板上のOLEDsとなる。実際に折りたためたり、巻けるOLEDsが市場に出てくるのは2018年で、2020年には1億7000万ドルに成長する見込み。
・Eリーダーの落ち込みが反射ディスプレイに影響。Eリーダーは、2015年から2020年にかけて40%落ち込み、これらの機器で一般に使用されている電気泳動ディスプレイや他の反射ディスプレイには深刻な影響を与える。しかし反射ディスプレイは、2020年には、そのままで5億9000万ドル市場を固守し、現在の5億6000万ドルをわずかに上回る程度と予想されている。これは、サイネージ、電子棚札(シェルフラベル)、ウェアラブルなど新しいアプリケーションが寄与するためである。