March, 24, 2025, 東京--東京大学大学院工学系研究科のチェンハン特任研究員、江草大佑助教、阿部英司教授は、大阪大学大学院工学研究科の中野貴由教授らによる研究グループと共同で、先進的な3Dプリンティングにより造形されたハイエントロピー合金(HEA)において、材料強度の向上を実現するサブミクロンスケールの新しいセル界面構造を発見した。
この構造は、3Dプリンティングに特有の超急冷によって生じた材料内での「転位ネットワーク」と「相分離」とが相乗する効果によって形成され、それぞれが独立に導入された場合を超える新たな強度向上メカニズムとして働くことが明らかになった。この研究成果は、3Dプリンティングを用いることで従来にはない新しいタイプのミクロ構造の制御が可能となることを示しており、次世代の高性能金属材料設計に新しい指針を提供する。
医療や航空宇宙分野など、特殊な環境下での使用を可能とする材料開発に貢献することが期待される。
発表の要点
・3Dプリンティングで製造されたTi-Zr-Nb-Mo-Taハイエントロピー合金において、強度の向上をもたらすサブミクロンスケールの新しいセル界面構造を見出した。
・セル界面を構成する「転位ネットワーク」と「相分離」が相乗的に作用し、材料強度を大幅に向上させることが明らかになった。
・この成果は、3Dプリンティング法の特徴を活かしたミクロ構造制御により、従来にはなかった高性能金属材料を実現できることを明瞭に示した。医療や航空宇宙分野など、特殊な環境下で使用可能な次世代金属材料の開発へとつながることが期待される。
(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)