March, 19, 2025, 大阪--大阪大学 大学院工学研究科の小笹 良輔 助教、Gokcekaya Ozkan助教、中野貴由教授らの研究グループは、レーザを熱源とする金属3Dプリンタが、金属材料の高機能化に必須の合金化と組織制御、さらには形状制御を同時(ワンプロセス)に実現できることを初めて実証した。
これまでに金属3Dプリンタは、レーザによる選択的な金属粉末の溶融凝固を繰り返すことで、任意形状を持つ3次元の構造物を作製できる手法として知られてきた。今回、研究グループは、5種類の純金属粉末を同時に溶融し、金属3Dプリンタの特徴である極めて高い冷却速度(最大10^7度/毎秒)を駆使した超急冷凝固を適用することで、構成元素が互いに固溶した均一なハイエントロピー合金を作製することに成功した。同時に、金属が凝固する時の熱流の方向を制御することで、低ヤング率(柔らかい)方位である<100>を優先配向化することにも成功した。また、金属3Dプリンタで作製されたハイエントロピー合金は、高い降伏応力(高強度)と低いヤング率を示す通常とは反する特性を発現することを見いだした。
この研究成果により、金属3Dプリンタの新たな活用方法として、純金属粉末を出発材料とした「合金化—組織制御—形状作製」による「ワンプロセス」での金属材料の機能性制御指針を提案し、従来の金属材料の製造プロセスを一新することで、生産のリードタイムや製造コストの削減に寄与することが期待される。
研究成果は2025年3月11日(火)(日本時間)、Elsevier発刊の材料学トップジャーナルの「Materials&Design」に公開された。