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金属蒸気タービンブレード、大型3Dプリント部品に最先端のポテンシャル

December, 20, 2023, Oak Ridge--エネルギー省のオークリッジ国立研究所(ORNL)の研究者は、発電所でエネルギーを生成するための大型回転蒸気タービンブレードを3Dプリントした最初の研究者になった。
シーメンスAGの米国研究開発拠点であるパートナー、Siemens Technologyが主導するこのプロジェクトは、25ポンドを超える重要な部品のスケーラブルな生産にワイヤーアーク積層造形が実行可能であることを実証している。これらの部品は伝統的に、ほとんどが海外に移転した鋳造および鍛造施設を使用して製造されてきた。

「現在、米国内のサプライチェーンから100ポンドまたは200ポンドを超える少量の鋳物や鍛造品を入手できないことが現実である。特に国際紛争が重要な供給品の国際移動にどのような影響を与えているかを見ているので、われわれは擁護できない立場に立たされている」と、ORNLの堆積科学技術グループの主任研究およびグループリーダ、Michael Kirkaはコメントしている。

ワイヤーアーク積層造形は、ロボットアームによって制御されるプロセスで、電気アークを使用して金属線を溶かす。金属の薄い層は、徐々に所望の形状に構築される。プリント後、部品は最終的な設計要件を満たすように機械加工される。タービンブレードの製造に使用されるワイヤアーク技術は、リンカーンエレクトリック(Lincoln Electric)との共同研究開発契約の下で開発された。

ワイヤーアーク製造は溶接技術に基づいているため、既存部品の修理に簡単に使用できる。これにより、シーメンスの姉妹会社、プロジェクトのパートナーでもあるSiemens Energyのような企業は、電力会社とのサービス契約に基づいて、機器の保守やアップグレードをより簡単に行うことができる。

2019年にSiemensのワイヤーアークの研究が始まったとき、それはコンポーネントの修理に焦点を当てていた。しかし、COVID-19のパンデミックにより、新しい鋳造蒸気タービンブレードの待ち時間が2年に延びたため、その範囲が拡大した。その後、プロジェクトは交換部品全体のプリンティングにまで拡大し、これらのタイプのタービンエンジンはガス、石炭、原子力発電所で使用できるほど汎用性が高いとKirkaは説明している。

ORNLの研究者は、材料で実験し、プリントされた部品の機械的性能を評価するためのより良い方法を開発した。その集大成として、合金鋼製の大型蒸気タービンブレードが誕生した。

「当初の意図は、ブレードの上部の25%だけプリントすることだった。しかし、ORNLでワイヤーアークのセットアップの可能性を見たとき、1回の構築でブレード全体を実行できると考えた。製造中に部品をスキャンする機能により、機械加工スタッフに提供できる適切な情報が得られ、生産時間を短縮することができた」と、Siemens Technologyのシニア・プリンシパル・キー・エキスパート、Anand Kulkarniはコメントしている。

大型の鋳物や鍛造品の待ち時間は7〜8か月に短縮されたが、ORNLは12時間でブレードをプリントすることができた。Kulkarniによると、機械加工を含めて、ブレードは2週間で仕上げることができる。

ワイヤーアークは3Dプリンティングの優れた技術であるが、これまでこのスケールの回転部品を作るために使用されたことはなかった、とKirkaは話している。タービンブレードには、通常、平行または垂直な表面がない。それらの輪郭のある曲線は、先端に向かって狭くなる。「位置特定機能なしで何かをプリントして仕上げることは困難である」(Kulkarni)。さらに、このサイズの重い部分の冷却より緩慢であり、層が堆積する速度と順序に感度が加わる。

部品を加工した後、Siemensは電力研究所(Electric Power Research Institute)と協力して非破壊評価と試験を行っている。
「われわれは、従来の方法と結果を比較するために、まだ特性の側面に注目している」(Kulkarni)。しかし、同氏によると、修理の場合、特性が同一である必要はなく、現在の課題はエンジンを稼働させ続け、ダウンタイムを回避することだけである。

「とは言え、部品の品質が良ければ、より多くのオンデマンド製造への扉が開かれる。さらに、このケーススタディは、大型部品の限界を広げるものである」(Kulkarni)。

3Dプリンティングの主な利点は、1つの鋳造会社が1つの設計のために製造した金型など、企業が管理できない特定の製造ツールへの依存から解放されることである。現在のタービンに搭載されている大型部品の多くは数十年前のものだが、閉鎖や業界の海外移転により、タービンを製造していたツールは事実上姿を消してしまった3Dプリンティングは、あらゆるデザインを再現できるため、より信頼性の高い代替手段を提供する。