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Fraunhofer ILT統合センサ技術、積層造形の次のステップ

September, 25, 2023, Archen--FraunhoferILTレーザ技術研究所は、フランクフルト・アム・マインのformnextにあるFraunhoferジョイントスタンドで積層造形技術の最新研究成果を発表する。
中でも、アーヘンのエンジニアは、コンポーネントに直接プリントされ、予知保全のためのリアルタイムデータを提供できる積層造形センサを展示する。新しいプロセスにより、AMプロセス、レーザ粉末床溶融(LPBF)中にセンサをコンポーネントにシームレスに挿入できる。

Industry 4.0、IoTなどのトレンドにより、機械やコンポーネントの状態を正確に記録することがますます重要になっている。十分なデータ収集の課題に対処するために、FraunhoferILTレーザ技術研究所は、スマート産業アプリケーション向けのセンサインフラストラクチャを開発し、AMプロセスを使用して実装した。

通常、センサはコンポーネントの表面に手動で取り付けられる。新開発のプロセスでは、コンポーネント表面のセンサに加えて、センサをコンポーネントに直接統合することも可能である。このようにして、コンポーネント内の負荷に関する重要な特性データを収集できる。

センサの手作業適用では、多くの場合、正確さが不足する。何と言っても、センサは振動、加速度、あるいはマイクロメートル範囲の最小変形を記録する必要がある。FraunhoferILTの薄膜プロセスグループリーダ、Samuel Moritz Finkは、「センサの手作業適用はあまりに不正確で、多くの場合再現性がない。さらに、ユーザーは、ますます自動化可能なプロセスを要求している」と説明している。

より正確なプリントされたセンサ
FraunhoferILTレーザ技術研究所は、フランクフルト・アム・マインのformnextにあるFraunhoferジョイントスタンド(ホール2023、ブースD200)で、積層造形センサを備えた乗用車のトラバースリンクを展示する(11月7~10日)。「トラバースリンクにプリントされた力センサは、絶縁層と保護層、電気接続を含めて、厚さが200μm未満である。アプリケーションで作用する力をいつでも決定できる。センサは、たとえばコーナリング中の力の変化を継続的に測定し、欠陥が発生する前に警告する」(Fink)。

「力センサは、コンポーネントの故障につながる前に、発生する最小の亀裂を記録する」。力センサに加えて、他のセンサをコンポーネントに適用して、たとえば、温度、振動または音、圧力または加速度、光、張力、さまざまな気体および液体を検出することもできる。絶縁層と保護層用の特殊ポリマは、最大300℃の温度に耐えられる。

このプロセスのアプリケーション範囲は膨大で、特に予知保全のための信頼性の高いリアルタイムデータを提供するため、「たとえば、バッテリーセルを個別に監視したり、洋上風力タービンのメンテナンス間隔を最適化したり、機械工学やプラントエンジニアリングのプロセスを改善したりするために使用できる」とFinkは続けている。

スマートコンポーネント製造の多段階プロセス
FraunhoferILTがformnextで発表するもう一つの注目すべきイノベーションは、AMプロセスにおけるセンサのシームレスな統合。LPBFなどの3D構造プリンティングプロセスの助けを借りて、プリントされたセンサは、製造時にコンポーネントに直接統合できる。

Fraunhoferの研究者は、積層造形フライスヘッドでこの技術を実証する。LPBFを使用した構造プリンティングプロセスは中断され、デジタル機能プリンティングプロセスとレーザベースの熱後処理を使用して歪ゲージを統合する。その後、構造プリンティングプロセスが続行され、スマートパーツを完成する。

構造プリンティングと機能プリンティングをレーザベース後処理と組み合わせることにより、研究所は、統合されたセンサ技術を備えたコンポーネントを完全に付加的に製造できることを示している。これにより、高度な状態分析のためにセンサを正確に配置できるだけでなく、これらのセンサを機械的環境ストレスから保護することもできる。

「センサ形状は、コンポーネントに応じてカスタマイズ可能。将来的には、一体型ヒーターなどの機能要素も考えられる。この技術は、工具製造や機械工学の分野における製造から自動車産業、さらにはエネルギー、航空宇宙、航空分野の幅広い用途を開く」とFinkはコメントしている。
(詳細は、https://www.ilt.fraunhofer.de)