May, 31, 2023, Aachen--Fraunhofer レーザ技術研究所ILTは、新しいハイブリッドプロセスSimultaneous Machining and Coating (SMaC)を開発した。これは、レーザ材料蒸着と旋削、研磨、フライス加工を統合している。
SMaCにより高強度材料が、迅速かつ効率的に適用され、同時に加工される。SMaCにより産業は、耐用年数延長、拡張動作サイクルのコンポーネントを製造することができ、これはエネルギー産業、モビリティ分野および化学産業にとって極めて魅力的な利点である。
コーティングは、隠れたチャンピオンのようなものである。なかなか注目されないが、それは大事をなすと言える。コンポーネントをあらゆる種類の損傷と磨耗から保護する。コンポーネント表面の物理的特性、化学的特性を改善し、一定の機能を附与する。また、絶縁あるいは反射特性による省エネにも役立つ。
Fraunhofer Institute for Laser Technology ILTで開発された特許となっている新しい統合プロセス – Simultaneous Machining and Coating (SMaC)は、別の方法でエネルギー負荷を改善する。「われわれは機械加工と超高速レーザ材料蒸着EHLAを単一プロセスに統合した」と、Coating LMD and Heat Treatmentグループ長、Viktor Glushychは、説明している。「これによりわれわれは、加工時間を大幅に短縮できる」。要求されるプロファイルおよびコーティング材料により、プロセス時間は、60%以上の短縮が可能である。
SMaCは、腐蝕磨耗に対する保護という高強度保護コーティングの基本問題を解決する。コーティングが厚くなればなるほど、保護はますます強力になるが、後加工がますます複雑になる。SMaCが優れているところは、それがEHLAプロセスで生成される余熱を利用することである。
レーザ材料蒸着直後、コーティング材料は、その硬度のほんの一部を示すだけである。これは、数100℃の余熱があるためである。機械加工では、それは並行しており、機械はより高い切断速度で動作可能である。蒸着後すぐに加工すると、コーティング材料が相対的に柔らかいからである。
「SMaCでは、耐腐蝕、耐磨耗コーティングを経済的に適用できる。われわれは、通常の連続加工と比較して著しく高い表面品質と潜在的に長い耐用年数を達成している」とGlushychは、説明している。EHLAプロセスは、高強度コーティング材料の加工にも使える、さらに高いエントロピー合金、あるいは金属ガラスである。これらは、従来法の利用で加工することは難しい。
SMaCの広い適用範囲
SMaCによりユーザは、高い生産性、経済性、多様な方法でコンポーネントをコーティングできる。しかし、その新プロセスは、環境的な視点からも興味深い。コンポーネントが損傷を受けることなく非常に長く利用できるからである。したがって、置き替えの頻度は下がる。「SMaCは、コンポーネント、アセンブリ、機械全体の耐用年数、動作サイクル、保守間隔を決定的に延ばす」(Glushych)。「これが、原材料、コンポーネントのエネルギー効率を高め、機械のダウンタイムを最小化する」。
スペアパーツが少ないとは、原材料の利用が少ない、メンテナンスが少ない、輸送や倉庫保管が少ないという意味である。多くの企業にとって、もっと独立した活動、より確実な計画が可能である、言い換えると、より大きな生産弾力性の達成である。近年、例えば、機能金属コンポーネントの非常に長い納期のために、生産を減速する企業もある。SMaCは、こうしたトレンドへの対処に役立つ。
(詳細は、https://www.ilt.fraunhofer.de)