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3Dプリンティングを利用して航空宇宙、エネルギー生成アプリケーションの重要材料を強化

May, 26, 2023, Cambridge--航空宇宙やエネルギー生成における多くの重要なアプリケーションにとって重要な材料は、高温や引張応力など極端な条件に確実に耐えることができなければならない。
MIT主導工学チームは、今日そのようなアプリケーションで使用される重要材料の一つを強化する簡素で安価な方法を報告している。

さらに、チームの考えでは、その汎用的なアプローチは、セラミックナノワイヤで強化された金属粉末の3Dプリンティングに関わるもので、多くの他の材料の改善にも使える。「極端環境に対する、より能力のある材料の開発には、常に大きな需要がある。われわれの考えでは、この方法は、将来、他の材料にも大きな潜在性がある」とJu Liは、コメントしている。同氏は、MIT材料化学&工学(DMSE)の教授、核工学Battelle Energy Alliance教授。
さらに同氏は、材料研究所(MRL)にも属しており、Additive Manufacturingに発表された論文の著者の一人である。

性能改善に向けて
チームのアプローチは、インコネル718、一般的な「スーパーアロイ」から始まる。これは、700℃の高温など、極端な条件に耐えることができる金属。研究チームは、市販のインコネル718を少量のセラミックナノワイヤとともに製粉し、「インコネル粒子表面にナノセラミックの均質なデコレーション」とした。

結果としての粉末は、次にレーザ粉末床溶融により部品を造るために利用される。そのプロセスでは、薄い粉末層のプリンティングが必要になる。粉末層は、それぞれ、粉末を横断して動くレーザに晒され、特殊なパタン様に溶ける。次に別の粉末層が、上に広がり、そのプロセスが反復され、レーザが移動してそのパタンを新しい層に溶融し、下の層とそれを結合する。プロセス全体が、複雑な3Dパーツを製造することができる。

研究チームは、新しい粉末を使用してこの方法で製造された部品が、インコネル718のみで作られたパーツよりも空隙率が極めて少なく、亀裂も少ないことを確認した。したがって、それは非常に強力な部品になる、また多くの他の利点も備えている。例えば、延性、つまり延びる、また放射能や高温負荷に高耐性である。

さらに、そのプロセス自体が高価ではない。「既存の3Dプリンティング装置で造れるからである。われわれの粉末を使うだけで、遙かに優れた性能が得られる」(Li)。

膨大な新規領域
Liによると、この研究は、「合金設計に巨大な新領域を開く可能性がある」。従来の溶融固化プロセスを利用して作製したバルク部品と比べると、超薄3Dプリントされた金属合金の冷却速度は著しく速いからである。結果、バルク鋳造に適用する化学組成についての多くのルールは、この種の3Dプリンティングには適用されないと考えられる。したがって、セラミックを添加したベース金属で探求する構成領域は非常に大きい」(Li)。
(詳細はhttps://news.mit.edu)