April, 12, 2023, 和光--理化学研究所(理研)光量子工学研究センター 先端レーザ加工研究チームの杉岡幸次 チームリーダー、小幡孝太郎 研究員らの共同研究チームは、フェムト秒レーザ加工において、ギガヘルツ(GHz)の超高繰り返しフェムト秒レーザパルス列(GHzバーストモード)を用いることで、単結晶シリコン基板を高速にアブレーションする新しい手法を開発した。
研究成果は、シリコンに限らず炭化ケイ素、ガラス材料、ポリイミドなど多くの機能性材料に適用可能であるため、高品質加工を維持したまま、高い加工速度を提供できる新しいレーザ加工法として期待できる。
従来のレーザ加工では、加工速度を速めるためにレーザパワー密度を大きくすると、過剰なエネルギー集中や試料と空気との界面における空気のイオン化により、加工品質が大きく低下するといった問題があった。
今回、共同研究チームは、新しいフェムト秒レーザの照射方法であるGHzバーストモードにより、高品質加工を維持したまま加工速度を飛躍的に改善する手法を開発した。GHzバーストモードでは、レーザエネルギー付与のタイミングを時間的に制御できることから、レーザパワー密度を大きくしても1パルス当たりの強度を小さくできるため、過剰なレーザエネルギーによる熱損傷および空気のイオン化による損傷を回避できる。その結果、従来のフェムト秒レーザ加工と比較して加工速度を23倍も向上させることに成功した。
研究成果は、科学雑誌『International Journal of Extreme Manufacturing』オンライン版(4月11日付:日本時間4月11日)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)