October, 17, 2014, Pasadena--JPL、Brigham Young University、カリフォルニア技術研究所の研究グループは、新しい材料と製造技術の組合せを利用して複雑で、ローコストの適合機構を実現する新しい方法を発表した。同グループによると、「バルク金属ガラス」はこの機構にとって、非常に望ましい特性を持っている。これらの「ガラス」は、原子の整列がランダムになるように設計した金属合金である。
JPL(ジェット推進研究所)の主席研究者、Douglas Hofmann氏は、「これらの金属は、柔軟性と耐久性が要求されるアプリケーションに望ましい特性を持っているだけではなく、プラスチック同様に射出成形で安価に造ることもできる」とコメントしている。
ブリガムヤング大学(Brigham Young University)のLarry Howell教授は「伝統的に、チタン合金はコンプライアント機構で使われてきた、理由はそれが最適材料であるからだが、チタンは取り扱いが難しい」と指摘している。新しい研究で、バルク金属ガラスがチタン合金の2倍の強度と従来の柔軟性を持ち、しかも融解温度が低いことが分かった。
JPL機械工学、論文の共著者、Grian Treaseは、「それはわれわれが長い間探し求めていた完璧な材料だ」とコメントしている。
材料研究者はチタン合金の3Dプリンティングに注目しているが、新しい研究が示すところでは、バルク金属ガラスを使うと複雑な形状は低コストのモールドで造れ、しかもそのパフォーマンスは維持されている。
「必要なら、これからロボットのベアリングでも義肢でも造れる。この材料は柔軟性と高力が必要な機構には理想的である」とBrigham Young氏は言う。
新しい研究では、チームは多くのコンプライアントメカニズムのパフォーマンスをモデル化し、バルク金属ガラスはそのようなアプリケーションでは最高性能の材料であり、一般にチタンの予測性能の2倍であると予想した。そのモデルを確認するために、双安定スプリング、2つの異なる位置でロックすることができるデバイスをチタンと金属ガラスの両方で造り、利点を示すために機械的なテストを行った。研究チームは次に2社の営利会社と協力して、この新しいメカニズムの同じのバージョンを30以上造った。それには、業界で利用できる最新の射出成形技術を利用した。
「基礎科学を利用してこれらの複雑なデバイスを設計し試作できることの実証は1つのこと。次の段階に進み、製造業と協力して実際にそれらを製造することで、われわれが実験室で行うことと、宇宙船の実際のハードウエアとして供給できることとのギャップを埋めることになると考えている」とHofmann氏はコメントしている。
研究チームは、様々なバルク金属ガラスコンポーネントを組み立てて、ミラー回転に使用する大きなマウントを作製することも実際に行った。