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ORNL、超強力部品に3Dプリントできる固有のポリマバインダを開発

January, 7, 2022, Cambridge--オークリッジ国立研究所(ORNL)エネルギー部の研究者は、プロトタイピングや部品製造に産業利用されている3Dプリンティング法、バインダージェット積層造形向けに珪砂をバインド、強化する新しいポリマを設計した。

プリント可能ポリマは、複雑な構造と並外れた強さをもつ砂構造を可能にし、しかも水溶性である。

研究成果は、Nature Communicationsに発表された。研究は、6.5㎝が、その重量の300倍を支える3Dプリントされた砂のブリッジを実証している。これは、ブルックリン橋の上に12のEmpire State Buildingsを設置することに匹敵する偉業である。

バインダージェットプリンティングプロセスは、産業で利用されている他の3Dプリンティング法よりも安価で高速であり、様々な粉末状材料から3D構造を作ることができるので、コストおよび拡張性に利点がある。そのコンセプトは、インクジェットプリンティングからのものであるが、インクを使う代わりに、そのプリンタヘッドは、液体ポリマを噴出して、砂などの粉末状材料をバインドし、層ごとに3Dデザインを構築する。バインディングポリマは、プリントされた砂に力を与えるものである。

チームは、ポリマ専門技術を利用して、ポリエチレンイミン(PEI)を調整し、従来のバインダと比べて、砂部分の強度を2倍にした。

バインダジェットでプリントされた部品は、プリントベッドから放出されたとき、最初は多孔性であるが、ギャップを埋めるシアノアクリレートと言う共粘着剤を加えることで強化可能である。第2のステップが、第1ステップに加えて、8倍の強度増をもたらし、ポリマ砂複合材は、石造建築を含め、いかなる他の、また既知の建材材料よりも強力になる。

「このアプリケーションで、バインダとしての働きに適したポリマはほとんどない。われわれは特殊な特性、最良の結果をもたらす溶融性を探していた。われわれの重要な発見は、われわれのPEIバインダの特殊な分子構造にあった。それは、シアノアクリルレートと反応させて並外れた強度を達成する」と、ORNLのTomonori Saitoは話している。同氏は、プロジェクトの主席研究者。

従来のバインダで形成されたパーツは、強力接着剤などの浸透材料で高密度化されるが、PEIバインダのパフォーマンスに近づいたものは何もない。PEIバインダの素晴らしい強度は、硬化中にポリマが反応してシアノアクリルレートと結合する方法によるものである。

超高強度砂の一つの潜在的なアプリケーションは、複合材製造のためのツーリングの促進である。

ケイ砂は、安価で、直ぐに利用できる材料であり、自動車や航空宇宙分野で複合部品作製向けに関心が高まっている。軽量材料、カーボンファイバ、ファイバグラスなどは、3Dプリントされたサンドコア、つまり“ツール”でラップされ、熱で硬化される。ケイ砂は、熱でサイズが変化しないのでツーリングとして魅力的である。また、それは固有の利点、洗えるツーリングである。複合アプリケーションでは、サンドツール形成のために水溶性バインダを使う。それが砂を除去するために水道水で洗い流す簡単なステップを可能にし、後に中空複合形態を残すからである。

テネシー大学Bredesen Center学生、論文の筆頭著者、Dustin Gilmerは、「ツーリングパーツの正確さを保証するためには、工程中に形状変化がない材料が必要である。これが、ケイ砂が有望な理由である。課題は、サンドパーツの構造的脆弱性の克服であった」とコメントしている。

現在のサンドキャスティングモールドとコアは、産業利用を制約している、ウオッシュアウトツーリングなど、大量生産法が、1回目でサンドパーツを破壊または失敗させる熱と圧力を加えるからである。大規模製造をサポートするために、また迅速部品製造を可能にするために、より強力な砂が必要とされている。

「われわれの高強度ポリマ砂成分は、バインダジェット法で作られるパーツの複雑さを高め、より複雑な形状を可能にする。また、製造、ツーリング、建設向けのアプリケーションを広げる」(Gilmer)。

新しいバインダは、2019 R&D 100 Awardを獲得、研究用に産業パートナーExOneから認可を受けている。
(詳細は、https://www.ornl.gov)