December, 8, 2021, Karlsruhe--紙をプリントアウトする従来のレーザプリンタのレーザは非常に小さい。対照的に、3Dマイクロ構造、ナノ構造のための3Dレーザプリンタは、大きく、高価なレーザシステムを必要とする。カールスルーエ工科大学(KIT)とハイデルベルク大学の研究者は、この目的に別のプロセスを使用する。二段階吸収が、安価で小さな、青色レーザダイオードで機能する。結果として,遙かに小型のプリンタが利用可能となる。研究成果は、Nature Photonicsに発表された。
現在、レーザプリンティングは、3Dプリンティングによる積層造形の選択法であり、それは全ての方法でベストの空間分解能を提供し、プリンティング速度が非常に速い。レーザプリンティングでは、集束レーザビームが感光性樹脂に向けられる。焦点でレーザ光が特殊な分子のスイッチを入れ、化学反応が始動する。反応は、材料を局所的に硬化する。焦点を動かすことで、どんな3Dマイクロ構造、ナノ構造でも製造可能である。化学反応は、いわゆる2光子吸収に基づいている、つまり2光子が同時に分子を励起する。これによって所望の化学的改変が起こる。しかし、この同時励起が起こるは非常に希である。複雑なパルスレーザシステムが適用される理由はこれである。結果的にレーザプリンタのサイズが大きくなる。
2段階法により一段とコンパクトな3Dプリンタが可能
いわゆる2段階法を使うと、よりコンパクトで小型のプリンタを実現することができる。最初のフォトンが分子を中間状態に移行させる。第2段階で、2番目のフォトンが中間状態からの分子を所望の励起状態に移行させ、化学反応をスタートさせる。利点は、2光子吸収に対して、2つのフォトン吸収が必ずしも同時に起こる必要がないこと。「そのプロセスでは、コンパクトで低出力連続波レーザダイオードが使える」と論文の筆頭著者、KIT応用物理学研究所(APH)のVincent Hahnは話している。必要なレーザパワーは、従来のレーザポインタのパワーよりも遙かに下である。しかし、プリンティングは、特定のフォトレジストを必要とする。「これらのフォトレジストの開発に数年を要した、また化学者との共同で可能になった」とAPHのMartin Wegener教授は話している。
簡単なだけでなく、優れている
「論文は、その方法が以前に使われていた2光子吸収よりも遙かに優れていることを明らかにしている。大きな違いは、大きなスーツケースのような数万ユーロのフェムト秒レーザを使うか、あるいはピンヘッド程度のサイズで10ユーロ以下のコストの半導体レーザを使うかである。靴箱程度のデバイスが来年には実現する。それは、KITの卓上レーザプリンタよりも遙かに小さくなる」とMartin Wegener教授は利点を語っている。こうして、3Dレーザナノプリンタは、多くのグループにとって手頃な価格になる。
(詳細は、https://www.kit.edu)