October, 21, 2021, Eindhoven--コレステリック液晶、液体と固体結晶の間の特性を備えた人工材料は、蝶の翅色を模擬することができる。液晶は、TVsやスマートフォンで使われているが、ヘルスケアセンサ、装飾照明向けの将来のアプリケーションは、困難である。その材料が、3Dプリンティングのような先進的、高速製法で使えないからである。その材料は、安定した固体構造を作れるほどの粘性はない。また特定の色を出すように分子を配列することは難しい。TU/eの研究チームは、新しい光反射液晶インクを開発することでこれらの問題を解決した。そのインクは、既存の3Dプリンティング技術で利用可能である。研究成果は、Advanced Materialsに発表された。
自然では、虹色材料、異なる角度から見ると色の変化を示す材料は、蝶の翅、軟体動物の内殻の真珠層に見られる。
これら自然材料の人工バージョンは、コレステリック液晶であり、光反射、切替可能窓、チューナブルソーラコレクタで、「スマート」材料としてすでに使われている。
ソフトなウエアラブルセンサのヘルスケアアプリケーション、装飾照明に、コレステリック液晶は、理想的である。しかし、これまでこれらの材料の簡単な製法、これらの材料からデバイスを作る方法がなかった。
新しいインクアプリケーション
TU/e化学工学・化学学部の研究者は、TNO、DSM、Brightlands Materials Center (in the DynAMコンソーシアム)、 およびSABICと協働で、自然からヒントを得た液晶エラストマベースのインクを作製した。これは、Direct-Ink-Writing (DIW)で表面に3Dプリントできる。研究の主筆、Ph.D候補、Jeroen Solは、Stimuli-responsive Functional Materials and Devices (SFD)グループのAlbert Schenning および Michael Debijeとともに研究プロジェクトを主導した。
「DIWは、 押出ベースの3Dプリンティングアプローチであり、インクは、小さなノズルから層ごとに表面に注出される。現在のコレステリック液晶インクは、DIWでプリントできない。したがって、DIWに適合する液晶インクを作製した」(Sol)。
新しい液晶インクは、いくつかの重要な特性を持つ。まず、インクの光反射特性は、材料全体で分子の精密ラセン配列に依存する。これは、プリンティングプロセスの微調整を必要とするものである。2番目に、インクの分子は、蝶の翅の虹色のような、自然の虹色材料と類似の色を表示するような構造に自己形成する。3番目に、その新しいインクは、以前のインクよりも粘性が大きいので、DIWプリンティングに適している。
最後に、新しいインクは、斬新であり、作りやすく、処理が簡単、以前にTU/eのSFD研究グループが、光反射コーティング向けに開発した材料をベースにしている。つまり、3Dプリンティングへの最適化に役立っている。
蝶の翅のプリンティング
「DIWで新しいインクのプリント成功のために、プリント速度と温度のようなパラメタを変更した。インクが適切にプリントされるように、低分子量液晶を含むインクも作製した」(Sol)。さらに、研究チームは、そのインクを使って合成の蝶の翅をプリントすることができた。
また、プリント速度を変えることで、非常に正確にナノスケール分子配列の制御もできた。これによりチームは、材料の概観や光反射特性を著しく制御できた。「従来、このレベルの制御は、非常に特殊な製造デバイスでしかできない。したがって、新しいインクとDIW 3Dプリンティングでこれができる事は、真のブレイクスルーである」とSolは話している。
将来のアプリケーション
DIWで新しい液晶インクのプリントができるので、将来的には、装着者と視覚的、色で相互作用するような薄いウエアラブルバイオセンサなどの個人化医療デバイスのプリンティング手順に利用できる。
「さらに、新しいインクとDIWの組合せを使って、実生活や人工画像をシームレスに統合するARヘッドセットとに必要な特殊な光学構造をプリントできる。新しい材料は、将来のHoloLensesへの道を見つけ出す、何か特別なものだからである」(Sol)。