June, 24, 2021, 東京/大阪--三菱電機株式会社(三菱電機)、大阪大学、スペクトロニクス株式会社(スペクトロニクス)は、次世代のレーザ加工装置として、高速に微細加工できる「高出力深紫外ピコ秒レーザ加工装置」の試作機を開発した。
材料を分解する能力が高い波長266ナノメートル(nm)の深紫外でパルス幅がピコ秒の短パルスレーザを、世界最高(2021年6月22日現在、三菱電機調べ)の平均出力50Wで照射することにより、加工時間の短縮の他、これまで近赤外レーザでは加工が難しかった透明なガラスなどの高速微細加工を実現する。今後は、この試作機の早期実用化を目指す。
開発の特長
1.世界最高50W深紫外レーザ光源の実現により、加工時間を10分の1に短縮
・レーザ結晶の配置を工夫し、高出力化で発生するレーザビームの歪みを抑制した300Wの基本波レーザ光源を開発
・結晶育成技術の高度化により、高出力での発熱密度を低減する大型波長変換素子に必要となる世界最大級(重量1.5kg)の高品質深紫外レーザ発生用結晶を開発
・基本波レーザ光源と深紫外レーザ発生用結晶を組み合わせることで、これまでの10倍(商用化されている5Wの深紫外レーザ加工装置との比較において。三菱電機調べ)となる平均出力50Wの深紫外レーザ光源を実現し、加工時間を10分の1に短縮
2.低歪み反射型加工光学系の開発により、直径4ミクロンの精密加工が可能
・加工光学系のレンズをミラーに置き換えた「低歪み反射型加工光学系」を開発
・高出力化に伴って発生するレーザビームの歪みをこれまでの15分の1に抑制(透過型光学系との比較において)
・レーザビームの集光性の低下を抑制し、直径最小4ミクロンの精密加工が可能
3.ハイブリッドMOPA方式の基本波レーザ光源の開発により、制御性に優れたピコ秒パルスを実現
・半導体レーザのゲインスイッチパルスを種光源とし、ファイバ増幅器とバルク増幅器を組み合わせた複数段の増幅器により出力を増大するハイブリッドMOPA方式ピコ秒パルスレーザ光源を開発
・電気信号によって直接パルスを発生できる半導体レーザを種光源とすることでパルス発生タイミングなどの制御性能を向上、加工に応じた自在なパルス発生が可能
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)