August, 30, 2019, Livermore--3Dプリンティングでは、プリンティング工程中に、加熱された材料の膨張と、冷たい材料の収縮のために、残留応力が部品に増大し、部品を歪め、亀裂を起こす力が生まれる。これは、特に金属では部品を脆弱にし、あるいは引き裂くことになる。
ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)とカリフォルニア大学デイビス(UC Davis)の研究チームは、構築中のプリント層を急加熱するために、LLNLのNIF向けに造られた技術から借りた高出力レーザダイオードを利用してこの問題に取り組んでいる。その新技術は、Additive Manufacturing誌に発表されている。研究チームが、温度勾配を減らし、冷却率を制御できるようにすることで、金属3Dプリントテストパーツの効果的な残留応力は90%低減した。
「金属では、実際、このような応力を克服することは難しい。残留応力を再配分するためにスキャニング戦略を変えるようなことを試みる研究はたくさんあったが、基本的にわれわれのアプローチが、パーツの構築にしたがい、応力を除去したので、そのような問題はなくなった。このアプローチを使用することで、われわれは部品構築中に、もはや不具合がなくなる点まで残留応力を効果的に除去することができる」と論文の筆頭著者、John Roehlingは説明している。
研究のために、LLNLエンジニアと共同主筆者、Will Smithは、レーザ粉体床溶融(LPBFR)プロセスを使い、316Lステンレススチールで小さなブリッジ状構造を作製した。同氏は、各層を固化させ、次にダイオードで最初は最高出力で表面を照射、、直ぐに強度を20秒周期で落とした。表面温度が約1000℃に達したので、結果は、各層の後、部分を炉に入れた場合と近くなった。
最終部品は、太い脚と薄いオーバーハング部分であり、研究者は脚の一つを切断し、オーバーハング部分がどの程度弱いかを分析することで、残留応力を計測することができた。研究者によると、ダイオードが使用されたとき、ブリッジはもはや歪められることはなかった。
「部品の構築は、通常の金属3Dプリンターの動作方法と同じことであったが、われわれの装置の新しいところは、われわれが第2レーザを使う点である。これは、より広い範囲を照射し、後に部品を後加熱する。すなわち、温度を急上昇させ、制御された方法でゆっくりと冷却する。そのダイオードを使うとき、残留応力が減少に傾向があることがわかった。また、それは後に炉で部品をアニールする従来法に匹敵する。これは、良好な結果であり、われわれの技術がいかに効果的であるかは、期待できそうである」とSmithはコメントしている。
そのアプローチは以前のプロジェクトの派生である。そこでは、NIFのレーザの問題を取り除くために開発された、レーザダイオードを使いワンショットで金属層全体を3Dプリントした。それは、金属パーツの残留応力を低減するには、他の一般的な方法を凌ぐものである。例えば、Roehlingによると、スキャニング戦略を変えるとか、加熱したビルドプレートを使うなどである。そのアプローチは、上から加熱するので、パーツの高さに制限はない。
研究チームは、次にもっと徹底的に研究し、加熱サイクルあたりの層数を増やすことに注意を向けるつもりである。これは、残留応力を同程度に減らせるかどうかを見るためである。また、より複雑なパーツを試し、より定量的な技術を使うためである。目的は、プロセスのさらに深い理解を得ること。
「この技術は、拡張可能である。現状、われわれは、比較的小さなエリアに放射しており、改善の余地が多いからである。ダイオードレーザをもっと追加することで、加熱エリアを広げることができる。これをもっと大きなプリンティングエリアのシステムに統合したいなら、そうする」とSmithは話している。
もっと重要な点は、Roehlingによると、研究チームがチタン合金(Ti64)の相変化の制御を研究することである。一般に、Ti64で構築すると、相変化により金属は非常に脆弱になり、パーツにヒビが入る。研究チームが、パーツをゆっくりと冷却することでその変化を回避できるなら、その材料は航空宇宙基準を満たす延性になる。Roehlingは、暫定的な結果は有望である、と付け加えている。
(詳細は、https://www.llnl.gov)