April, 10, 2019, Aachen--複合物は異種物質の利点を結びつけるので、それを使って、軽量建設で大きな潜在性を引き出すことができる。
JEC World 2019でフラウンホーファーレーザ技術研究所ILTの研究チームは、複合材料の効率的製造と加工のための広範なレーザベース技術を紹介した。
フラウンホーファーILTの専門技術者は、複合材料の経済的な結合、切断、アブレーション、穴開け、特に既存プロセスチェーンへの組込みとの関連でレーザプロセスのR&Dを行っている。フラウンホーファーILTマイクロ結合グループリーダー、Alexander Olowinsky氏は、「材料を結合するボンディングだけでなく、ミリング、ソーイング、ウォータージェット切断、のような分離技術における機械的プロセスは、レーザプロセスで置き換えられる。これは,建設プロセス全般の効率と品質の大幅な向上となる」と話している。
超軽量アプリケーション向けマグネシウムの微細構造化
プラスチックと金属は、それぞれ特殊な特性を持っている。展性、強度あるいは熱伝導性など、ハイブリッドコンポーネントではそのすべてが統合可能になる。これらのハイブリッド複合材料の実現には、まず金属表面が準備されなければならない。例えば、CWレーザによる微細構造化、あるいは超短パルス(USP)レーザ、多様なマシンコンセプトによるマイクロ構造化、ナノ構造化によって実現可能となる。
最軽量金属建築材、マグネシウムは、特に高い熱伝導性が特徴。RWTH アーヒェン大学のプラスチック加工IKV研究所とともにフラウンホーファーILTは、マグネシウムをマイクロ構造化するレーザプロセスを開発している。それに続くプロセスで、ハイブリッド射出整形法で様々な熱可塑性プラスチックと、非常に安定したピッタリとフィットする接合が可能になる。
そのようなプロセスには、シングルモードファイバレーザ(波長1064nm)が、1000㎜2/秒のスピードで、マグネシウム表面の精密アンダーカットを作り出す。これらのアンダーカットは、それに続くハイブリッド射出整形法で、プラスチックで満たされる。「短いガラス繊維強化プラスチック向けに、最大22.4MPaの高い剪断強度のハイブリッド接続を開発した。コンポーネントは、極めて軽量であるばかりか、同時に耐久性が高い」とフラウンホーファーILTのプラスチック加工チームリーダー、Christoph Engelmann氏は説明している。さらに、接着剤不要であるので、経年劣化プロセスも、従来の接着剤接続と比較して、非常にゆっくりと進む。
どんなプラスチックが使えるかについてほとんど制限範囲がない。原理的に、射出整形に使用される全ての熱可塑性プラスチック材料がここに適している。コンポーネントの接続や機能の組込に広範な可能性が開ける。機能は、製造されたハイブリッドコンポーネントが後で提供するものであり、これは純粋な金属構築では作製できない。
複合材の穏やかな切断工程
レーザを使って熱可塑剤、特に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を切断する際、プロセス設計は一般に考えられる限り最小のHAZ生成を狙う。同時に、生産性と短い加工時間を維持しなければならない。切断パスに沿ったレーザビームの反復的、高速スキャニングが材料を除去し、材料の節約になる。「スキャニング範囲を連続的に追跡することで、この手順を大きなコンポーネントでも使用できる」とフラウンホーファーILTのマクロ接合/切断プロジェクトマネージャ、Dr. Frank Schneider氏は説明している。
レーザパワー、スキャニング速度とスパン間の冷却時間がHAZと加工時間に影響する。研究者は、このパラメータを最適化し、その材料にとって考えられる最善の設定を決める。これは、混合材料でできたハイブリッドパーツのコンポーネントでも適用可能である。ガラス繊維あるいは炭素繊維強化プラスチックのように多様な材料が分離されなければならないとしても、それらは相互にスタックされており、切断はワンステップで可能である。優れたビーム品質のCW高出力レーザを使えるので、正確、効率的で、工具の摩耗もない。
生産CFRPコンポーネント製造にレーザ穴あけ
軽量分野では、CFRP構造のコンポーネントへの機能素子組み込みは、ねじ込みインサートで行われることが多い。例えば、自動車や航空機産業のコンポーネント向けのプリフォームである。この目的で、機械的に穴開けされたコンポーネントにピッタリ合うようにインサートされ、接着剤で止められる。結合部の品質と強度は、穴開けされた積層板と接合部の精度に大きく依存する。
無含浸炭素繊維が、USPレーザ照射で穴開けされ、機能素子が継続してピッタリ合うようにインサートされると、特に耐久性があり,高品質の合成物が形成される。レーザスキャナは、スター形状の穴など、要求の厳しい外形の穴開け、負荷挿入統合も可能にする。後の注入プロセスでは、母材が炭素繊維とインサートの間の接着剤の役割を果たし、追加の接着剤が不要になる。
USPレーザビーム加工を利用することで、プリフォームと強化CFRPコンポーネントの両方を高品質で穴開けできる。