June, 19, 2018, 大阪--日本原子力研究開発機構高速炉・新型炉研究開発部門 敦賀総合研究開発センター レーザ・革新技術共同研究所の村松壽晴GL、原子力科学研究部門 物質科学研究センター 放射光エネルギー材料研究ディビジョンの菖蒲敬久研究主幹と大阪大学接合科学研究所の塚本雅裕教授らの研究グループは、レーザコーティング加工時に生じる固体金属の溶融・凝固過程を汎用エンジニアリングワークステーションにより評価可能な計算科学シミュレーションコードSPLICEを開発した。
レーザコーティング加工は、基板上にコーティング粉末を噴射すると同時にレーザ光を照射し、高品質なコーティング膜を付与する技術。この加工技術は金属基板に異なる金属膜を薄くコーティングすることで異なる機械的性質を付与できることが特徴。しかし、要求仕様を満足するコーティング膜を付与するためには、コーティング粉末の供給量やレーザ光の出力などを、基板材料とコーティング粉末材料の組合せに応じて適切化することが求められる。
今回開発したSPLICEはこのコーティング膜厚、溶込み深さなどの要求仕様を満足するレーザ照射条件などの施工前評価を実測では数ヶ月要していたのに対して数週間に短縮することができた。SPLICEの根幹を成す固体金属の溶融・凝固過程の評価性能は、SPring-8からの高輝度放射光X線を用いたイメージング法などにより、その妥当性を確認している。今回の成果により、今後市場展開が計画されているレーザコーティング装置の産業界での市場拡大が期待される。
(詳細は、http://resou.osaka-u.ac.jp)