March, 1, 2017, Warsaw--ワルシャワ大学物理学部(Faculty of Physics at the University of Warsaw)の研究グループは、UVスペクトルでフェムト秒レーザパルスを生成する微小トライブラーデバイスの開発を報告した。
同デバイス、以前に用いられたセットアップよりも効率が3倍優れており、設計段階で開発された独自のソフトウエアパッケージにより、指先に乗る程度のサイズである。
新技術によりレーザはカバーするスペクトル範囲を広げているが、まだ簡単にアクセスできない波長もある。これに含まれるのは、300nm付近のUV帯、特に短パルス幅と高強度が必要になる場合である。多くの場合、UVパルスは、第2高調波あるいは和周波生成などの非線形プロセスで生成され、この場合、より高エネルギーの新しいフォトン、新しい波長が、基本パルスフォトンのエネルギーをまとめることで形成される。しかし、こうしたプロセスの効率は低い。
しかしコンピュータ能力の増強と優れたプログラミングを組み合わせることで周波数変換プロセスは、赤外からUVまで大域的最適化が初めて可能になった。
「新開発のオープンソースシミュレーションパッケージ、Hussarにより、未経験のユーザでも、簡単なブロック、入力パルスパラメータ、媒体の材料特性と関連するプロセスを利用してマルチパルス伝搬や相互作用の複雑な3次元の、正確なシミュレーションを構築できるようになった」とそのソフトウエアを開発したTomasz Kardasは説明している。「一度入力パルスパラメータ、つまりエネルギー、パルス幅、空間ビームプロファイルなどを決めると、パラメータの広い範囲で最良設計の探査が始まる。非線形結晶の厚さ、ビームサイズ、ビームウエスト位置などである。さらに、これらの最適値を見つけてデバイスを構築し、そのパフォーマンスを計測すると、出力UVパルスは正にシミュレーション通りとなった。スクリーン上のものとラボで計測したものとのこの種の定量的一致は、非線形オプティクスでは、むしろ稀である」。
しかし、トリブリング効率が3倍向上して30%以上になることは最初のステップでしかない。研究チームは、小型化も目標にしていた。実験室のテーブルに多数のコンポーネントをマウントして使うよりも、第3高調波発生器(トリブラー)は、実に結晶ををスタックした小さなブロックである。
「事実、これら全ての要素をまとめている1インチの金属ホルダーが全体のセットアップで最も大きな部品である」とデバイス特性評価実験のリーダー、Pawel Wnuk氏は説明している。結果的にトリブラープロトタイプは、従来設計よりも約1000分の1の小さな体積となっている。