September, 6, 2016, Cambridge--MITとシンガポール技術・設計大学(SUTD)のエンジニアは、原形を「記憶する」3D構造のプリントに光を使う。伸ばされ、捩じられ、極端な角度に曲げられた後でも、その構造物は、小さなコイルや多材料の花から、エッフェル塔の1インチレプリカまで、ある温度の「スイートスポット」まで加熱されると数秒以内に原形に戻った。
構造物によっては、研究チームはミクロンスケールの形体をプリントすることができた。これは、他の研究者がプリント可能な形状記憶材料によって達成できた寸法の少なくとも1/10程度であった。
MIT機械工学准教授、Nicholas X. Fangは、「温度に反応して変形が予測できる形状記憶ポリマは多くのアプリケーションで有用である、ソーラパネルを太陽の方向に向ける柔らかいアクチュエータから、感染の早期兆候を検知して開く微小の薬剤カプセルまである」と話している。
同氏は、「究極的には体温をトリガーとして利用したい。このようなポリマを適切に設計できると、熱だけをトリガーとして薬剤を放出する薬剤送達デバイスを作ることができるかもしれない」と言う。
論文の共著者、SUTDの准教授、Qi Kevin Geによると、3Dプリンティング形状記憶材料のプロセスは4-Dプリンティングとも考えられる。「構造物は、第4の次元、時間で変化するように設計できるからだ」。
「われわれの方法は、4Dプリンティングをミクロンスケールで可能にするだけでなく、商用の3Dプリンタでプリントしたものを10倍に大きくすることができる形状記憶ポリマをプリントするレシピを示唆している。これは、4Dプリンティングを広範な実用的なアプリケーションに展開することになる。例えば、生物医学デバイス、配置可能な航空宇宙構造物、形状が変化するPVソーラセルなど」。
形状記憶構造物をさらに微細にプリントするために研究チームは、マイクロ光造形法という独自開発の3Dプリンティングプロセスを使用した。ここではプロジェクタからの光を使って連続的な樹脂層上にパタンをプリントする。
研究チームはまず、CADソフトウエアを使って構造物のモデルを作り、次にそれを数100にスライスする。その各々をプロジェクタでビットマップとして送り出す、これは各層を非常に微細なピクセルの配列として表す画像ファイルフォーマットである。プロジェクタは次に、ビットマップのパタンで液状樹脂、またはポリマ溶液に光を照射し、パタンを樹脂にエッチングする。次にそれを固める。
研究チームは、科学文献から、光パタンをプリントして形状記憶材料実現に理想的なポリマ混合を特定した。ポリマは2つあり、1つは長鎖ポリマ、つまりスパゲッティ状ストランド、もう1つは固いヤグラに似たもの。混合して硬化させると、材料は壊れることなく飛躍的に伸ばし、捩じることができる。
さらに、その材料は、特殊な温度範囲、この場合は、40~180℃でで元のプリント形状に戻ることができる。
「これは、従来のノズル、インクジェットベースのプリンタと比較して、非常に進んだ3Dプリンティング法である。この方法の主要な利点は高速プリンティングと構造的完全性が優れていることである」とUCSDのナノエンジニアリング教授、Shaochen Chen氏はコメントしている(同氏はこの研究に関わっていない)。