May, 30, 2016, Livermore--ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の研究チームは、通常の金属3Dプリンティング技術を悩ます問題への解で大きく前進した。これは、どのような相互作用がレーザ粉体層溶融プロセスで製造されるパーツの多孔性につながるのか、という問題である。
Acta Materialiaオンラインに発表された論文によると、LLNL研究者、Ibo Matthewsの研究チームは、レーザが金属粉体を照射した際の蒸発によって、ガスフローが構築中のレーザパス付近の粉体を取り払う力になることが分かった。この「露出」現象が、レーザが次に通過する際に利用できる粉体の量を減らし、最終部分に小さなギャップや欠陥が生ずる。
「このプロセス中、金属の沸点、もしくはそれに近い温度に達するので溶融プールからの強力な蒸気流動が起こる。この研究の前には、この金属蒸気の流れが粉体層にどんな影響を及ぼすのかわからなかった」とMatthewsは説明している。
特注の顕微鏡セットアップ、真空チャンバ、超高速カメラを使い、研究チームは溶融プロセス中にレーザからの金属粉体の排出を観察した。コンピュータシミュレーションと流体力学原理により、粒子の動きを説明するモデルを作成した。
LLNL積層造形ディレクタ、Chris Spadacciniは、「Matthewsが発見した、われわれが知らなかった現象が金属粉体層積層造形に存在した。これは部分品質と構築スピードに対する重要な示唆を持つことになる。また、それはわれわれのモデルでとらえなければならないものである、したがって新しい物理学をシミュレーションコードに付け加えることになる」とコメントしている。
Matthewsによると、次のステップは、多孔性がどのように発展するかをリアルタイムで研究し、その新しい情報を用いて、先進的な診断と構築品質改善のためのプロセス改良の両方を探求することである。
「物理学の理解が進んだので、われわれはプロセスをさらに正確にシミュレートし、製造への取り組みを改良する。最終的には、シミュレーションを使って欠陥のないパーツ製造への自信を得たい」とMatthewsは話している。