November, 13, 2015, Santa Clara--合成ダイヤモンドスーパーマテリアルの先駆者、エレメントシックス(Element Six)は、新しいダイヤモンド、Diamond PureOpticsの開発を発表した。
蛾の目の反射防止構造からヒントを得た、このオールダイヤモンドソリューションはハイパワーCO2レーザシステムに、信頼性向上、一段と高い出力密度レベルを提供する。
Element Sixの説明によると、無比の熱的、機械的、光学的特性の組合せにより、CVD成長のダイヤモンドは、ハイパワー、マルチワットCO2レーザシステムに最適のウインドウ材料となった。UVから電磁スペクトルのRFまでの広い透過ウインドウは、材料の中で最高硬度、最高熱伝導性と相俟って、ロバストなオプティクスコンポーネントとして傑出している。
より高速のスループットに対する要求の高まり、EUVリソグラフィのような新しいアプリケーション(サブ10nm照射にCO2レーザを使用)が登場してきていることから、よりロバストなオプティクス実現のために最先端のソリューションが要求されている。関連のアプリケーション要件を満たすためにElement Sixはダイヤモンド合成と処理能力をさらに高く引き上げた。
ダイヤモンド光学ウインドウは一般に、個々の面で反射損失を最小化するために反射防止薄膜コーティングをその一部として持つ。これは空気に対するダイヤモンドの屈折率の変化に関連しており、レーザ出力を最大化する。しかしこのようなコーティングは、本来のダイヤモンドと比べると機械的、熱的特性が1000倍劣るものであり、光パワー密度が増すと、熱的、機械的損傷が増加することになる。
Element Sixは、蛾の目の構造を真似ることによって、このようえな薄膜をダイヤモンド構造面で置き換えた。この構造は反射損失が減少するように設計されており、オプティクスの信頼性は、もっぱらダイヤモンド固有の傑出した特性に変化する。メタサーフェス(MS)を持つDiamond PUreOpticsによって信頼性が向上し、ハイパワーCO2レーザシステムで一段と高いパワー密度が可能になる。EUVアプリケーションに最適であり、オールダイヤモンドMS設計によってレーザ誘起破壊のしきい値はARコートウインドウよりも遙かに高く(10倍)、反射率(0.5%以下)や透過率(99%以上)は同等である。
Element Six Technologiesの販売・マーケティング長、Bruce Bolliger氏によると、業界は一層の高出力CO2レーザに移行してシステムダウンタイムに関連するコストが高騰している。「耐久性も信頼性も一段と高いARレーザウインドウが不可欠になっている」と言う。「オールダイヤモンドソリューション実現により、耐久性が向上し、損傷を受けやすいAR薄膜を除去することでハイパワー化が可能になる。AR薄膜は、EUVリソグラフィなど極端に高いパワー密度のアプリケーションでは最初に損傷を受けることが多いからだ。われわれは、Diamond PureOptics光学ウインドウの強化されたパフォーマンスにより、次世代ハイパワーレーザシステムや先進的アプリケーションが可能になると考えている」。
ARコートウインドウとElement Sixの新しいDiamond PUreOptics MSウインドウとの研究的比較で、信頼性および熱マネージメントでMSの優越性が明確に実証されている。ベンチマークテストでは、ARコートウインドウはレーザ誘起破損しきい値が~0.25MW/㎝2であることが実証されているが、同じレーザはMSウインドウを破壊することは全くできない、パワー密度を10倍に高くしてもできなかった。さらに、ARコートとMSを交換すると、全般的なウインドウ吸収は下がり、ウインドウ動作温度が低下、熱によるビーム歪最小化に寄与する。
Element Sixの10.6µm波長用のAR MS構造を持つDiamond PureOpticsは、設計、製造、フィールドテストが完了しており、現在出荷可能になっている。同社、他の波長用のDiamond PureOpticsソリューションの開発にも取り組んでいる。