November, 4, 2014, Gaithersburg--NISTは、ハイパワーレーザ向けに新たなキャリブレーション(較正)サービスを始めた。ハイパワーレーザは、金属の切断や溶接用途では製造業が、不発地雷の信管を外すなど特殊用途では軍が用いている。
NIST(米国国立標準技術研究所)は、1.5kWを超えるレーザパワーとパワーメータのキャリブレーションを行う世界唯一の国立計量研究所。今回の新しいサービスは、最高10kWまでのパワーレベルに対して行う。10kWレーザからの集光された光は、地球に届く太陽光よりも100万倍強い。
NISTは先頃、初めてのハイパワーキャリブレーションを完了した。これは市販の5kWレーザパワーメータ。計測は、2標準偏差で約1%の不確かさがあり、これは軍事および先端製造用途に必要とされる正確さと精度閾値。「マルチkWレベルでそのような不確かさレベルは前例がない」とキャリブレーションリーダー、Josh Hadler氏は語っている。このパワーレベルでは効果的で安全なパフォーマンス達成のために、ほとんど全てのアプリケーションでレーザ出力が正確に分かっていないければならない。
この新しいサービスを開設するためにNISTスタッフは、10kWのファイバレーザを購入し、電気仕様に合うように実験室を改修して、適切な安全装置を設置した。例えば、高い損傷許容性のある壁、特殊オプティクス、レーザのビーム制御。オペレータは、保護壁の後から駆動しているレーザを見る。ここでは、モニタと制御用にマルチカメラシステムを使用する。レーザ光は、流水によって囲まれ冷却された従来のカロリーメータに吸収される。スタッフが水の入出の温度差を計測し、その値を使ってレーザパワーを計算する。
キャリブレーションだけでなく、NISTは新しい施設をレーザ溶接中に起こる基本的な物理プロセスの研究にも使用することを計画している。その研究は、違う材料、厚さの異なる材料の溶接などの技術的課題の克服にも役立つ。特性が大きく違う材料を結合できれば、溶接に関連する以前からの設計的コスト的障害を克服することができる。
NISTは、キロワットレーザで使用するために、高速で可搬性の優れたレーザパワーメータを開発している。プロジェクトリーダー、Paul Williams氏によると、この開発は最終的には新しいサービスの基準移転として使われる可能性がある。こうしたイノベーションによって、ハイパワーレーザのNISTキャリブレーション計測は、商用ラボ、あるいは他国の国立計量研究所でも行えることになる。