May, 20, 2014, Erlangen--フランウンホーファーの研究チームは、取り扱いが柔軟で、精密測定ができる新しい種類のロータリーセンサを開発した。これは、特定の計測作業にカスタマイズできる。
ロータリーセンサは、動く対象の位置を軸との関連で決めるのに役立つ。一例を挙げると、自動車産業ではロータリーセンサは車のエンジンの円滑な動作にとって不可欠。回転角は、特別なセンサを用いて計測する。現在、市場には2種類の回転角センサがあり、動作原理は磁気か光学かのいずれか。磁気センサは非常に耐久性が高く汚れに強いので、過酷環境で使うことができるが、光学センサほどの精度がない。一方、光学センサは、計測対象の固定位置に正確に搭載する必要があるので柔軟性に欠ける。
フランウンホーファー集積回路IIS研究所の研究チームは、2つのソリューションの利点を1つに統合した新しい回転角センサを開発した。「われわれのセンサも光学計測を利用するが、その機能原理は現在市場にある他の製品とは全く異なっている」とIISグループマネージャ、Dr. Norbert Weber氏はコメントしている。この新しいセンサは偏光効果を利用する。通常の条件では、光は全ての方向に振動する、つまり最初の状態では偏光していない。特殊な偏光フィルムを使うことで、この振動を決まった1つの方向に操作することができる、水平または垂直のいずれかになる。研究チームは、そのような偏光フィルムをテスト対象、例えばドライブシャフトにとりつけ、それに対して光を照射する。偏光フィルムの裏面に偏光光が生ずる。ドライブシャフトが今回転していると、偏光ベクトルはそれとともに回転し、ある種の方向指示器として働く。
読み出しモジュールは、光ビームの中に位置するように設置する。ワイヤグリッド(微細構造)をセンサチップのマトリックスに配置する。これらの格子は、通常のCMOSチップ製造工程で簡単に作製できる。偏光光が格子に当たったときにシャフトの角度位置が計算される。「シャフトの角度位置の的確な計測を得るには、それぞれ異なる方向に設定されたグリッドが少なくとも3つ必要になる」とWeber氏は説明している。計測作業によりさらにグリッドを追加することも可能であり、計測精度を高めながら顧客の特殊要求にチップを適応させていくことができる。このデザインで、従来の光学センサの精度を100%実現することはできないが、この新しいセンサは遙かに堅牢であり、比較的柔軟に配置することができる。「チップは、光の軸上に直接置く必要はない、重要な点は、それが光ビームの中にあることだ」とWeber氏は言う。もう1つの利点は、たとえシャフトがふらついても、ビームが十分に広ければ、結果に影響しないと言うことである。