January, 27, 2016, 東京--ファナックとシスコシステムズ(シスコ)は、両社が協業して製造業の工場で稼働している 産業ロボットをネットワークに接続し、製造業界における複数の顧客企業で効率的な運用を推進していくこととした。工場内に設置されたサーバでロボットの稼働状況を解析し故障予知を行うことによって、定期メンテナンス時の部品交換や、不意の生産・製造ラインの停止、生産エリアや工場全体で生産業務の中断に至る事態を避けることができる。
今回の発表に先立ち、北米において大手自動車メーカーで12カ月間に渡ってゼロダウンタイム(ZDT)パイロットプロジェクトを実施し、期間中、生産設備or産業ロボット施設のダウンタイムをほぼ100%削減して総合設備効率(OEE)を上昇させることに成功した。
メーカーの生産施設の多くは量産体制を敷いており、予期せぬ操業停止は多大なコストを生じさせる。ある自動車メーカーでは、予想外のダウンタイムが生じた場合、中断1分間あたり平均200万円前後が失われると試算している。ファナックのZDTソリューションでは、ロボットや制御装置、あるいは製造工程に何らかの不具合が発生する可能性をシステムが事前に検知し、ダウンタイムが生じる前に情報が提供されるため、事前の保守スケジュールに基づく操業停止時間内に問題への対応を済ませることができる。
シスコでは新たに、機械メーカーやそのエンドユーザーである製造メーカーがネットワーク接続やセキュリティ、コンピューティングに至るまでのシスコ製品を直接、あるいは現場の集約装置を通じて生産設備やセルに組み込むことができるコネクテッドマシンソリューションを提供する。
ファナックは、産業用ロボットの分野で世界トップ企業であり、ネットワークエッジやクラウドでのビッグデータ分析を活用して、実際に不具合が生じる前に、工場の設備機器に故障が起きる可能性を予測することができる保守手順を確立している。ファナックのロボットにはセンサが搭載され、気温や生産サイクル、機械の稼動状況など、常にさまざまなデータの収集を行っている。こうしたデータを状況に応じて分析することで、ベアリングやトランスデューサといった部品の損耗を予測する。
これまで、こうした問題は生産現場で現実にダウンタイムが生じるまで発見されることはなく、分析やその後のサービスについてもロボットとの物理的な接続が可能な場合に限られていた。ファナックのZDTソリューションでは、ロボットはシスコのネットワークを通じて、工場内のエッジコンピューティングのデータ収集装置につながれる。
さらに、保守管理に関連するデータが工場内の解析サーバに蓄積され、解析エンジンによって規定範囲を超えた例外事象がないかが綿密にチェックされ、保守サービスの必要性を予測する。部品の交換が必要な場合は、その旨が解析サーバから通知され、関連する作業内容の指示も合わせて表示される。