熱で活性化される「グレネード」でガンを狙い撃ち

November, 20, 2015, Manchester--国立ガン研究所(NCRI)ガン会議で、マンチェスター大学の研究チームは、感熱トリガーをもつ、ガン薬剤を詰めた「グレネード」を開発し、腫瘍を直接標的にする治療を可能にした。
　研究チームは、薬剤をガン細胞に輸送するためにリポソームを開発した。リポソームは、細胞膜でできている小さな泡のような構造で、分子を細胞に輸送するためのパッケージとして使用されている。課題は、どんな治療でも同じだが、健全な組織を傷つけないように、リポソームとそのペイロードを直接腫瘍に輸送することだ。
　研究チームは、熱で活性化するトリガーをリポソームに付けることで、この問題の解決に一歩近づいた。ラボのマウスモデルでは、腫瘍をわずかに加熱することで、研究チームはガンを殺す「グレネード」が薬剤を放出してガンを射止めるようにピンを引く時を制御することができた。
　リポソームが、温められたガン細胞の「ホットスポット」に到達すると直ぐ、効果的にピンを引き、薬剤を放出する。これにより腫瘍への薬剤の輸送がより効果的にできるようになり、健全な細胞への巻き添え被害を減らすことになる。
　熱トリガーは、通常の体温よりわずか数度高い、42℃に設定。これは実験室でしか行われていないが、患者のガン細胞を加熱する潜在的な方法はたくさんある。これは、ガンのタイプによるもので、すでに臨床利用で採用されているものもある。