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ライス大学、UV光駆動ナノ水中モーター

November, 19, 2015, Houston--ライス大学の化学者James Tourの研究者が作製した単一分子、244原子サブマーシブルの各々がUV光を原動力とするモーターを持っている。各々がフル回転すると、そのモーターの尻尾のようなプロペラがサブマーシブルを18nm前進させる。
 100万RPM(毎分回転数)以上で動くモーターによってスピードが出る。サブのトップスピードは1インチ/秒以下であるが、分子スケールでは猛烈なスピードである、とTour氏は説明している。「これは、溶液で見られる過去最高速度の分子である」。
 Nano Lettersに発表された報告によると、この光駆動ナノサブマーシブルは、26%の「拡散強化」を示している。言い換えると、そのサブはブラウン運動により、以前よりも大幅に高速に拡散する。
 まだ操作はできないが、分子モーターは、同サイズの分子が動く溶液を通して、サブ-10nmのサブマーシブルを駆動するに十分な力を持つことを研究は証明している。Tour氏は、「これは、1000人がボールを投げつける中で、一人の人がバスケットボールコートを歩いて行くことに匹敵する」と説明している。
 同氏によると、これまで多くの科学者がモーター付のマイクロマシーンを作製したが、それらは有毒物質を使うか、生成するものだった。ライスのサブマーシブルに適することが証明されたものは、オランダのグループが過去10年で考案したモーターで、これは20段階の化学合成で造られていた。
 「これをナノカー、今度はサブマーシブルの推進に使用できることを提案したのはライス大学のチームが初めてである」と院生、Victor Garcia -Lópezは話している。
 そのモーターは、プロペラと言うよりもバクテリアの鞭毛のように動作し、4段階で各回転が完了する。光で励起すると、モーターを本体に結合しているダブルボンド(二重結合)がシングルボンドになり、それが1/4ステップで回転するようになる。そのモーターがより低いエネルギー状態を探すと、それは隣接原子に跳んでさらに1/4回転する。この過程は、光が照射されている限り繰り返される。
 Garcia -Lópezによると、課題の1つは適切な蛍光体でモーターを狙い、回転速度を変えることなくトラッキングすることだった。
 ノースカロライナ(NC)のチームは、2つのスライドの間に数個のサブナノを含む希釈アセトニトリル液を挟み、特注の共焦点蛍光顕微鏡を使って、UV光(モーター用)と赤色レーザ(ポンツーン用)を反対側からそれに当てた。
 顕微鏡のレーザは、トラッキングが起こる溶液内での光を規定する。
 ライスの研究チームは、今後ナノサブは医療および他の目的でカーゴーを運ぶことができるようになると見ている。「これは第1段階であり、概念実証である。今度は潜在的なアプリケーションの研究が必要になる」とGarcia -Lópezはコメントしている。