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X線レーザで重要なシグナリングタンパク質のマップを作る

August, 18, 2015, Menlo Park--Natureに発表された生体医学ブレイクスルーは、感覚反応やホルモン応答性を制御するこれまで見たことのない人の細胞のスイッチボードの細部を明らかにしている。この成果は、エネルギー省のSLAC国立加速器研究所のX線レーザ実験に基づいている。
 10年来進められてきた待望の発見は、高血圧、糖尿病、ある種のガンを含む治療に、強く的を絞った、効果的で、副作用が少ない薬の開発に大きな影響を与えると考えられている。
 この研究は、SLACのLCLS線形加速器コヒレント光源を使い、今日までで最も重要な科学的成果の1つと言われている。LCLSは、地球上で最も高輝度なX線光源の1つで、シンクロトロンよりも10億倍高輝度であり、これによって研究者はより小さなサンプルを使用でき、同時に超高解像度が可能になる。
 このようなウルトラブライトX線により研究チームは、視覚に関係する細胞受容体とドッキングしているアレスチンと言う重要なシグナリングタンパク質の3D原子スケールマップを初めて完成することができた。受容体は、GPCRs(Gタンパク質結合受容体)ファミリの深く研究された例であり、これは市販薬の薬40%が標的にしているものである。その構造は、アレスチンと結合しているが、GPCRsのON/OFFシグナリング経路について新たな洞察を提供するものである。

身体の細胞「スイッチボード」のデコード
 アレスチンと、別のクラスの特殊シグナリングタンパク質、Gタンパク質が代わる代わるGPCRsとドッキングする。両方とも身体の通信「スイッチボード」で重要な役割を果たしており、受容体が解釈できる信号を細胞指令に送る。
 今までは、Gタンパク質だけでこの基準で受容体に参加すると見られていた。SLACでの研究前は、細胞シグナリングのOFFスイッチの重要な役割を果たすアレスチンがGPCRsとどのように結びついているか、またこれがGタンパク質ドッキングとどのように違うかについてはほとんど知られていなかった。最新の研究によって研究者は、ドッキングしたアレスチンが、どのようにしてGタンパク質が同時にドッキングすることを阻止することができるか、またその逆について理解できるようになっている。
 GPCRsを活性化、非活性化する利用可能な薬剤の多くはGタンパク質とアレスチンの両方のドッキングを阻止する。
 「薬剤発見の新しいパラダイムは、この選択的な経路を見つけたい、効果が改善されるように、アレスチンの経路かGタンパク質の経路かどちらか一方、両方出はない仕方を見つけたい、ということだ」と研究リーダーのEric Xu氏はコメントしている。この選択的活性化により、広範な薬剤がより効果的になり、副作用が少なくなると研究は指摘している。

X線レーザは微小サンプルにとってベストツール
 Xu氏は、2012年タンパク質の研究用にSLACのX線レーザ利用について初めて知った。微小アレスチンGPCR結晶、これは彼のチームが長年苦労して造り出したものであるが、最先端のシンクロトロン、より一般的なX線光源でさえ、難しすぎることが分かっていた。
 LCLS実験では、Xu氏のチームは人のロドプシン形態サンプルを使用した。これは、網膜に見つかるGPCRで、その機能障害は鳥目の原因となる。そのサンプルを人のアレスチンにほぼ近いマウスのアレスチンに溶け込ませた。1㎜のわずか数千分の1を計測し、練り歯磨き状の溶液に形成された結晶をLCLSのX線パルスにしみこませてパタンを生成。それを統合し解析し、研究チームは、タンパク質複合体の完全な3Dマップを再構成することができる。
(詳細は、www.slac.stanford.edu)