July, 28, 2015, St.Andrews--セントアンドルーズ大学の研究チームは、マイクロレーザを供給することで多数の白血球のその日の活動を追跡することに成功し、生体医学に新たな面を開いた。
この技術は、体内でガンがどのように広がるかについて新たな知見を与えるものと期待されている。
この微小技術は、いずれ生体医療オプティクスで有用なツールに発展する。各細胞から生成されるレーザ光のスペクトル成分は異なっており、長期にわたって多数の細胞を区別し追跡するために使用できる。最初の研究では、研究チームは数10の人白血球にタグ付けし、白血球を1日追跡できることを実証した。原理的に、このアプローチにより、同時に数十万の細胞にバーコード付けして高い信頼性で区別することができる。
世界中の研究グループが数年にわたり単一細胞をベスにしたレーザに取り組んできた。しかし、これまでに報告された細胞レーザは、細胞そのものよりも遙かに大きな光学共振器を必要とし、細胞がそのような共振器の中に挿入される必要があった。共振器サイズを飛躍的に縮小し、自発的に異物を取り込む細胞の機能を利用することによって、最新の研究は1個の生きた細胞内でレーザ光を生成できるようになっている。
同大学物理学/天文学教授、Malte Gatherによると、将来的には組織に侵入した多数のガン細胞の追跡、炎症箇所に移動する個々の免疫細胞を追跡することが可能になる。
「多数の細胞の動きを追跡できると、生物学における多くの重要な過程の理解が深まる。例えば、循環するガン細胞がどこで、いつ健全組織に侵入するかが分かると、ガンがどのように身体に広がるかの知見が得られ、将来的にはより的を絞った治療を開発することができるようになる」。
開発者は、異なるタイプの細胞に光マイクロ共振器を与えた。あるタイプの細胞は特に素早く共振器を「飲み込んだ」。小食細胞、つまり体内の「ゴミ処理」を担当する免疫細胞は殊の外、5分足らずで共振器を吸収する。しかし、特に飲食作用が明白でない細胞でもすぐにマイクロ共振器を吸収したので、レーザバーコードが多くの多様な細胞タイプに適用可能であることが示された。
この研究で用いられたマイクロ共振器は、ウイスパリングギャラリーモード共振器。これは微小なプラスチックビーズで、ビーズの円周沿いの円軌道に光を強制的に取り込むことができる。増幅材料があると、比較的微弱な励起条件でも、ウイスパリングギャラリ共振器はレーザ光を発する。この点は、共振器を含む細胞で光誘起の損傷を起こさないようにできるので、生きた細胞への組込みに適している。現在の研究では、発振プロセスに関わる細胞の生存能力損失は見られなかった。
ウイスパリングギャラリ共振器によるレーザ光のスペクトル成分は、共振器を構成するプラスチックビーズのサイズと屈折率に極めて依存的である。一群のウイスパリングギャラリ共振器内の生得的なサイズにバラツキにより、多数の固有発振スペクトルが得られる。