July, 9, 2015, Gathersburg--宇宙物理学研究所連合(JILA)の研究チームは、個別分子の3D動作を何時間も正確に計測できるほど超安定な顕微鏡を設計した。現在の限界である数秒と比べると数100倍長い時間計測できる。
この技術は生体細胞をDNAの最小部分、30億ある人の遺伝子の化学単位から1個の「塩基対」のヌクレオチドを追跡するために設計された。しかしこの装置は生物学を超えて、生体化学、生物物理、おそらく製造でも有用である。
JILAは、NISTとコロラド大学ボルダ校と提携している。
JILA/NIST物理学者、Tom Perkins氏は「この技術は室温で優に1nm以下の精度で2つのアイテムをアクティブに相互安定化できる。このレベルの3D安定性は、1ナノメートル(nm)スケールでものを作り、評価する際、ナノマニファクチャリングの世界で関心を集め始めるかもしれない」とコメントしている。
この成果は、JILAの世界最先端の微小物体位置計測技術に立脚している。最近行われた微調整により、安定性は以前よりも遙かに長くなり、1度に何時間も改善された。観察時間が長くなると研究者は、例えば分子モータを連続的に観察する時間を延ばせる。このような生体化学過程は、生きた組織(生体)の幅広い範囲に関与している。例えば、細胞内部で動き回る分子、DNAを別の遺伝物質形態、RNAにコピーするなどだ。新しいJILAの装置は、個々のタンパク質が特定位置に折り畳まれる際の計測にも役立つ、このプロセスはタンパク質が適切に機能するために必要とされている。
今までは研究者は、測定装置の「ドリフト」が信号を不鮮明にするまでに、連続して数個、1塩基対ステップしか見ることができなかった。そのような一連の繰り返しステップの観察は極めて稀である。測定装置は、1nmの1/10(1Å、水素原子の直径相当)以内に安定でなければならない。
一般に、顕微鏡がこのレベルの安定性に達するのはごくたまにである。しかし新しいJILA計測プラットフォームによって増強されると、装置は確実に1nmの1/10の安定性を達成できる時間が、1度に100秒までとなる。さらに、長期にわたりこれを何度も繰り返し達成することができ、JILAのチームは最大28時間、同システムを動作させた。
高精度と安定性に加えて、この計測装置は広範な時間スケールで動きを検出することができる。これは測定装置の校正やタンパク質の折り畳みにおける短命な状態の計測には極めて重要である。JILAの方法は、光トラッピング技術、原子間力顕微鏡、超解像度イメージングに適用可能である。
この方法は、2つのレーザを使い、散乱光の強度をベースにして、分子の両端の位置を計測する、あるいは2つの異なる物体の位置を計測する。散乱光は同じ1つのフォトダイオードで検出され、その信号はデジタル化され、解析され、サンプルの位置の計算に用いられる。決定的に重要な点は、JILAのチームが2つのレーザを使ってその技術の安定性を評価したことである。これによって、1つのサンプルに対して2つの別の独立した計測を行った。この確認がなければ、研究者はそれがサンプルなのか、あるいは動いているレーザなのかを判断できない、とPerkins氏は説明している。