April, 9, 2015, Marseille--マルセイユ大学(CNRS/Aix-Marseille Université)の運動科学研究所(Institut des Sciences du Mouvement)、バイオロボティクスの研究チームは、加速度計なしで視覚的に安定して不整地上空を飛ぶことができる初の飛行ロボットを開発した。
ロボットはBeeRotorと言い、昆虫の視覚からヒントを得た光フローセンサによってスピードを調整し、障害物を回避する。また、この飛行ロボットは壁が動く凸凹のトンネルをスピードや高さを計測することなく飛行できる。
全ての飛行物体は、無人機からアリアン打ち上げロケットまで、現状では慣性計測ユニット、加速度計を搭載している。これによって飛行物体は、ロールとピッチを、水平あるいは垂直的に地球の中心方向に対して安定化できる。加速度計は、重力を含め、飛行物体の全ての加速度を計測する。しかし、この基本的なツールと同等のものが、昆虫にはない。昆虫はこうした情報なしで安全に飛行する。
Fabien ExpertとFranck Ruffier研究チームは、翅のある昆虫からヒントを得てBeeRotorを開発した。これは繋留飛行ロボットで、加速度計なし、速度・高度の計測なしで速度を調整し、地形にしたがって飛ぶことができる初めての飛行ロボットである。重量80g、長さ47㎝のBeeRotorは、壁が動くトンネル内で垂直障害を独力で回避することができる。これを達成するために研究チームは、昆虫が飛ぶときに過ぎ去る地形を利用する能力を真似た。これは視覚フローとして知られており、その原理はハイウエイをドライブすれば直ちに観察できる。前方の視界は全く安定しているが、横を見ると、景色はますます速く通り過ぎ、車の進む方向に対して90°の角度で最大に達する。
視覚フローを計測するためにBeeRotorが実装しているのはわずか24個のフォトダイオード(またはピクセル)で、これらはその目の上方と下方に分布している。これによってロボットは環境のコントラスト、その動きを検出することができる。昆虫の場合と同様に、景色の中の特徴のあるものが1つのピクセルから次のピクセルに移動する速度がフローの角速度を提供する。フローが速くなると、ロボットのスピードも速くなっていると言うことであり、障害物との相対距離は減少していることを意味する。
脳に相当するものとして、BeeRotorは3つのフィードバックループを持っている。これが視覚フローを直接利用する3つの異なる反射神経として働く。第1のフィードバックループが、床あるいは天井に追随するように、その高度を変えさせる。第2のものが、ロボットが飛び抜けるトンネルのサイズに適合するようにその速度をコントロールする。第3のループは、専用のモータを利用して、局所的な傾斜に対してその目を安定にする。これにより、ロボットは、ピッチの角度とは関係なく、可能な最良の視界を常に獲得する。BeeRotorは、こうして加速度計なしで、スピードや高度を計測することなく、極めて傾斜のきつい障害物を回避することができる。この技術の特許は2013年後半に取得済み。
BeeRotorによって、加速度計なしで昆虫がどのように飛ぶことができるかを説明するための新しい生物学的に妥当な仮説を提案することができる。翅のある昆虫は視覚フローから指示を得て安定を保つ、これはロボットで使用したものと同じフィードバックループのお陰である。