Science/Research 詳細

DNA情報をその場で読み取るナノデバイス

August, 15, 2025, 大阪/東京--大阪大学産業科学研究所の筒井真楠准教授、小本祐貴助教、川合知二招へい教授、東京大学大学院工学系研究科の徐偉倫准教授、大宮司啓文教授、産業技術総合研究所の横田一道主任研究員らによる共同研究チームは、DNAの情報をその場で読み取るための新しいナノデバイスを開発した。

このデバイスは、毛髪の直径よりもはるかに小さい「ナノポア」という微小な孔のそばに、金属製の極小ヒータ(ナノヒータ)を内蔵したものである。このヒータに電気を流すと、ナノポア周辺のごく狭い空間だけを高温にすることができ、その熱でDNAの二重らせん構造をほどいて一本鎖の状態に変えることができる。さらに、この1本のDNAがナノポアを通過する際のイオン電流変化を調べることで、DNAの塩基配列情報を高速に読み取ることが可能になる。

この方法のメリットは、試料全体を加熱する必要がなく、ほんの一部分だけを温める点にある。これにより、DNAの損傷を抑え、低消費電力・低熱雑音を実現することで、より正確なDNAの1分子検出を可能にした。

この研究成果は、米国化学会が発刊する 『ACS Nano』 (オンライン) にて、7月30日(水)9時(日本時間)に公開された。

(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)