July, 25, 2025, 福岡--九州大学大学院農学研究院の椿 俊太郎 准教授、井手 綺音(大学院生物資源環境科学府修了生 当時)、Ibrahim Maamoun助教、井倉 則之 教授、英国カーディフ大学 Daniel Slocombe教授、Dr.Oliver Castelらの研究チームは、半導体発振器を搭載した高周波やマイクロ波加熱装置を用いて3Dバイオプリンタを開発した。
さらに、卵白たんぱくとキャノーラ油で構成したエマルションゲルに、マイクロ波吸収助剤となる塩化マグネシウムを加えたバイオインクを開発し、エマルションゲルを三次元(3D)的にプリントする手法を開発した。
この手法を用いて、高周波やマイクロ波の周波数を変えて卵白タンパク質の変性を制御し、ゲルのテクスチャを調節することに成功しました。3Dプリントしたエマルションゲルは、嚥下困難者向けに見た目や食感をデザインした嚥下食として提供することができる。
マイクロ波加熱は食品の調理や加工に広く利用されている。従来の電子レンジに用いられるマグネトロンに代わり、マイクロ波の出力や周波数を精緻に制御することができる半導体式のマイクロ波発振器を用いることで、熱に繊細な天然高分子材料を高精度に加熱することができる。そのため、様々な食品や医用材料分野への応用が期待されている。
「家庭で広く用いられる電子レンジは、食品を迅速かつ効率的に加熱することができる。これに加えて、半導体式のマイクロ波発振器を用いることで、精緻な加熱制御も可能となる。嚥下食や培養肉、デザートなどの食品のみならず、熱に不安定な生体材料や医用材料などへの広い展開が期待される」(椿 准教授)
(詳細は、https://www.kyushu-u.ac.jp)