June, 13, 2025, 東京--早稲田大学大学院情報生産システム研究科の三宅丈雄教授、アザハリ・サマン助教らの研究グループ、山口大学大学院医学系研究科眼科学講座の木村和博教授・芦森温茂助教らの研究グループと京都大学工学研究科の廣谷潤准教授らの研究グループは、MXene(マキシン, M=遷移金属、X=C, N)と呼ばれる2次元ナノシート状の遷移金属化合物を市販のソフトコンタクトレンズに安定的に統合する技術を開発した。
MXeneは優れた導電性と電磁波吸収・反射特性を有するため、コンタクトレンズ表面にコーティングすることで、電磁波からの眼の保護とレンズ自体の高い光透過性を同時に実現する。今回の技術では、MXeneの酸化劣化を防ぎながら、市販のコンタクトレンズ上に簡便かつ強固に貼り付ける方法を確立した。また、眼の乾燥を低減する保湿効果を持ち、生体適合性も高いことを確認している。
研究成果は、2025年6月4日午前10時にWileyの科学誌「Small Science」にオンライン版で公開された。
研究では、京都大学廣谷グループが開発したMXene素材を基に早稲田大学三宅グループがMXeneの薄膜形成とコンタクトレンズへの転写を実現させたMXeneレンズを試作し、山口大学木村・芦森グループにて安全性を評価することで、透明で安全な導電性コンタクトレンズの開発に成功した。
ポイント
・MXene(2次元遷移金属化合物)のコーティング技術を用いて、ソフトコンタクトレンズ上に高い透明性と電磁波シールド効果を両立。
・眼の乾燥を低減する保湿効果を併せ持ち、生体適合性も90%以上(角膜細胞生存率)と高水準を実現。
・市販コンタクトレンズへの簡便かつ強固な転写技術を開発し、従来課題であったMXeneの酸化による劣化を抑制。
・電子回路や無線技術を活用する次世代ウェアラブル機器の安全性向上や、産業・医療分野への幅広い応用に期待。
(詳細は、https://www.waseda.jp)