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ガン細胞を生体内の深部までリアルタイムに可視化

June, 12, 2025, 神戸--神戸大学、理研の研究グループは、ガン細胞を生体内の深部までリアルタイムに可視化することに成功した。

ガンの内部は、様々な特徴を持ったガン細胞や免疫細胞、線維芽細胞など多様な細胞が不均一に入り乱れている。このような内部環境は、ガン治療を阻む大きな要因とされており、ガン治療開発において重要な課題であることが広く認知されている。しかし、従来の解析技術では、生体深部のガン細胞を解析することは困難であり、腫瘍内部の環境を考慮したガン治療の開発には、新しい技術の開発が必要だった。

この研究では、ガンのイメージング用に改良を施した独自の顕微内視鏡と、理化学研究所の宮脇敦史 チームディレクターらが開発したFucciシステム(Fucci(SA)5)を用いて、ガン深部に存在するガン細胞を生体内で解析できる技術の開発を行った。開発した技術により、直径1 cmにも達する大きさのガンにおいて、端から端までガン細胞を可視化することに成功した。
また、同技術は生体に対するダメージが非常に低いため、同一個体の抗ガン剤に対する応答を数週間に渡って解析することにも成功している。この解析から、ガン細胞が抗ガン剤に対する抵抗性を獲得するメカニズムに関する新たな知見も取得している。

研究成果は、ガン治療開発における新しい評価法となり、革新的なガン治療法の開発を加速させることが期待される。さらに、新しいガン検査法や治療効果評価法など医療への展開も期待される。

研究成果は、6月5日に、学術誌「Cell Reports Methods」に掲載された。

研究グループ
神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科の片岡洋祐 特命教授(研究当時:理化学研究所生命機能科学研究センター 客員主管研究員)、後藤俊志 特命助教(研究当時:理化学研究所生命機能科学研究センター客員研究員、現:甲南大学フロンティアサイエンス学部 客員研究員 兼任)らと、理化学研究所脳神経科学研究センター/光量子工学研究センターの宮脇敦史 チームディレクター、阪上-沢野朝子 研究員、甲南大学フロンティアサイエンス学部の西方敬人 教授らの研究グループ

(詳細は、https://www.kobe-u.ac.jp)