February, 20, 2015, Leeds--リーズ大学の生体医療と臨床科学リーズ研究所(Leeds Institute for Biomedical and Clinical Sciences)の研究チームによると、金(ゴールド)ナノチューブにはガン治療で多くのアプリケーションがある。高解像度内部ナノプローブ、薬剤輸送、ガン細胞破壊薬剤など。
「外科切除後の腫瘍の高い再発率はガン治療の難題として残る。手術後に科学療法あるいは放射線治療を行ってこれを防ごうとしているが、こうした処置は重篤な副作用を招く」とDr Sunjie Yeは指摘している。
金ナノチューブ、ストローに似た管状構造の金ナノ粒子は、診断と治療を単一システムに統合することで、こうした従来の処置の効果を高める可能性がある。
研究チームによると、ナノチューブの長さを制御する新技術がこの研究を下支えする。長さを制御することで研究者は「近赤外」の光を吸収するのに適切なサイズの金ナノチューブを造ることができた。
リーズ大学の物理学、天文学教授、Steve Evans氏は、「人間の組織はある周波数の光、赤/赤外域の光に対して透明である。懐中電灯を手に当てると手の一部が赤く見えるのはそういうことだ」と説明している。
「金ナノチューブが体内を移動するとき、適切な周波数の光をナノチューブに当てると、光が吸収される。光エネルギーは熱に変換される。パルスレーザビームを用いてナノチューブ近傍の温度を、ガン細胞を破壊できるレベルまで、素早く上げることができる」。
細胞レベルの研究では、レーザパルスの輝度を調整することで金ナノチューブがガン破壊モードか、あるいは腫瘍イメージングになるかをコントロールすることができた。
体内の金ナノチューブ見るために、研究チームは新しいタイプのイメージング技術、MSOT(マルチスペクトル光音響トモグラフィ)を使用した。これによって、静脈注射でマウスに投与した金ナノチューブを検出することができる。これは、生体内金ナノチューブの初の生体医療応用である。また、金ナノチューブは体内から排泄されること、したがって毒性の問題は生じないことが示された。これは臨床用途でナノ粒子を開発する上で考慮すべき重要な点である。
「ナノチューブは腫瘍標的とすることができ、中心は中空コアにできる。この中空コアは、治療用ペイロードに使える。標的を定め治療薬を局所的に放出するという組合せは、この個別化医療の時代に、最小限の毒性で患者のガンを特定し、処置するために利用できる」。
イメージングと他の生体医療用途で金ナノチューブを利用することは、早期臨床研究に向けて現在、トライアルが進められている。