July, 18, 2024, つくば--NEDOの委託事業「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」において、産業技術総合研究所(産総研)は、画像基盤モデルを使用して少量の内視鏡画像の学習から高精度に診断する膀胱内視鏡診断支援AIを開発した。
現在、医療分野において画像診断を支援するAIの開発が進んでいるが、医療現場で実際に画像診断支援AIが活用されている領域は限られている。特に患者数や検査数の少ない疾病や希少症例では教師データの収集が難しいため、画像診断支援AIの適用が困難だった。
今回、2種類の数式を併用して自動生成された200万枚の画像から画像基盤モデルを構築した上で、画像基盤モデルに対して従来よりも格段に少ない約9000枚の膀胱内視鏡画像を追加学習した結果、画像のみから病変の有無を診断するタスクにおいて、8名の専門医の平均を超える診断精度(感度94.3%、特異度99.4%)を実現できた。この精度は、画像認識AIの事前学習に広く使用されているデータセットであるImageNet-21kとImageNet-1kを事前学習に使った場合の診断精度を超えた。
今後、診断対象領域に合わせて画像基盤モデルを開発し、膀胱内視鏡以外にも教師データの収集が困難な医療分野への適用を進めていく予定である。
この技術の詳細は、2024年7月15日から2024年7月19日まで米国オーランドで開催される 46th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society(EMBC2024)にて発表する。