伸縮性E-スキン、ロボットに人レベルの接触感覚付与

June, 18, 2024, Austin--史上初の伸縮性のある電子スキンは、ロボットやその他のデバイスに人間の皮膚と同じ柔らかさとタッチ感度を装備し、高い精度と力の制御を必要とするタスクを実行するための新しい可能性を開く可能性がある。

テキサス大学オースティン校（University of Texas at Austin）の研究者によって開発された新しい伸縮性のあるe-skinは、新技術の大きなボトルネックを解決する。既存のe-skin技術では、素材が伸びるにつれてセンシング精度が失われるが、この新しいバージョンではそうではない。

「人間の皮膚がわれわれの動きに合わせて伸びたり曲がったりしなければならないのと同じように、電子皮膚も伸びたり曲がったりする。e-skinがいくら伸びても、圧力反応は変わらない。これは大きな成果である」と、このプロジェクトを主導したCockrell School of Engineeringの航空宇宙工学・工学力学科のNanshu Lu教授は話している。

研究成果は、Matter誌に掲載された。

Luは、伸縮性のあるe-skinを、人間の手と同レベルの柔らかさと感受性を備えたロボットハンドの重要な要素として想定している。これは、ロボットが患者の脈拍を確認したり、体を拭いたり、体の一部をマッサージしたりする医療に応用できる。

ロボット看護師や理学療法士が必要な理由。世界中で何百万人もの人々が高齢化しており、世界の医療システムが提供できる以上のケアを必要としている。

「将来、介護者よりも多くの高齢者を抱えるようになったら、世界的に危機的状況に陥る。われわれは、効率的かつ優しく人の世話をする新しい方法を見つける必要がある。ロボットはそのパズルの重要なピースだ」（Lu）。

医療にとどまらず、人間をケアするロボットは災害時にも展開できる可能性がある。例えば、地震や倒壊した建物で負傷者や閉じ込められた人を探し、心肺蘇生法などの現場でのケアを行うことができる。

E-skin技術は、接触による圧力を感知し、カップをつかんだり、人に触れたりするために、取り付けられた機械にどれだけの力を加えるべきかを知らせる。しかし、従来のe-skinが伸びると、その変形も感知する。この読み取り値は、圧力を感知するセンサの能力を歪める追加ノイズを生成する。そのため、ロボットが何かを掴むのに力がかかりすぎる可能性がある。

デモンストレーションでは、伸縮性により、研究者は、様々な繊細なタッチベースのタスクを実行するために形状を変えることができるインフレータブルプローブとグリッパを作成することができた。皮膚を包んだ膨らませたプローブを被験者に使用し、脈拍と脈波を正確に捕捉した。空気を抜いたグリッパは、コインを中に落としても、タンブラーを落とさずにしっかりと保持できる。また、サクサクしたタコスの殻を壊さずにプレスした。

この発見の鍵となるのは、Luと共同研究者が長年取り組んできた革新的なハイブリッド応答圧力センサである。従来のe-skinは静電容量式と抵抗膜式のいずれかだが、ハイブリッド応答e-skinは圧力に対する両方の応答を採用している。これらのセンサを完璧にし、伸縮性のある絶縁材料や電極材料と組み合わせることで、このe-skinのイノベーションが可能になった。

また、医用生体工学科、Chandra Family電気・コンピュータ工学科、#alker機械工学科、テキサス材料研究所にも所属するLuと同氏のチームは、現在、潜在的なアプリケーションの開発に取り組んでいる。チームは、自然科学部コンピュータサイエンス学科の助教授であるRoberto Martin-Martinと共同で、e-skinを搭載したロボットアームを構築している。研究者とUTはe-skin技術の仮特許を申請しており、Luはロボット企業と協力して市場に投入することに前向きである。