January, 8, 2015, Corvallis--オレゴン州立大学(OSU)の研究チームは、ガン細胞に選択的に化合物を挿入する新しい方法を開発した。これは、外科医が悪性組織を特定する際に役立ち、光線療法と組み合わせることで腫瘍摘出後に残ったガン細胞を死滅させるシステム。
このコンセプトによると、固形ガンをより正確に取り除くことができ、同時に残ったガン細胞も根絶する。実験室のテストでは、光線治療後ガンの再発を完全に防いだ。
「このアプローチで、ガン細胞や腫瘍は近赤外光を当てられると文字通り蛍光を発し、外科医に除去すべき箇所を正確に示す。その同じ光がガン細胞の中の化合物を活性化させ、これによって残った悪性細胞を根絶させる。手術成功に寄与する素晴らしい新アプローチだ」とOSU薬学部准教授、Oleh Taratula氏はコメントしている。
この技術は、近赤外光を受けるとある特異な性質を示すナフタロシアニンという化合物の利用をベースにしている。細胞を光らせ外科医には、それがガイドになる。また、細胞を加熱して死滅させる。さらに活性酸素分子種を生成し、これも悪性細胞を死滅させる。また、光の強度を調整することで、化合物の活動をコントロールし、腫瘍とガン細胞だけを死滅させるように最適化できる。この研究は卵巣ガン細胞で行われた。
しかしナフタロシアニンは水溶性ではなく、体内で塊になったり凝集する傾向があり、その過程で細胞を光らせ活性酸素分子種を生成する能力が失われる。
OSUの研究チームは、特殊水溶性ポリマ、デンドリマを利用することでこうした問題を克服した。デンドリマは、ナフタロシアニンを分子の中に隠す。その分子は、ガン細胞にだけ付着し、健全細胞には付着しない。非常に微小なナノ粒子であるデンドリマは、ガン細胞につながる血管にあるが、健全な細胞につながる血管にはない、ある物理的な特性を利用する。腫瘍には簡単に入り込むが、健全組織には概ね危害を加えない。
一旦ガン細胞に入り込み、必要なタイプの光を浴びると、ガン細胞が光り出し、それにしたがって医師はどの組織を切り取り、どれを残すかという生物学的なロードマップを得る。同時に、数分この光照射を浴びるとナフタロシアニンは残った細胞を死滅させる。
外科手術と、毒性がない光線治療との「ワンツーパンチ」アプローチは、極めて有望である、とTaratula氏は主張している。「これは、既存の化学療法や放射線治療とは全く異なる」「多くのガンにとって、手術は最初の治療選択肢であるが、今後そうした手術をより以前よりも正確に、効果的に、完璧にすることが可能になる」と同氏はコメントしている。