December, 24, 2014, Raleigh--ノースカロライナ州立大学の研究チームは、水や放射線照射でもペプチドを安定に保つように、窒化ガリウム(GaN)表面にペプチドを結合する方法を発見した。この発見によって、医療や生物学的研究応用で使用する新しい領域のバイオセンサ開発に一歩近づいた。
GaNは生体適合性のある物質であり、放射線照射を受けると蛍光を発したり、発光したりする。研究チームは、こうした特性に関心を持ち、生物環境の特定の分子、つまり被検質を検知できるバイオセンサを実現したいと考えている。
GaNバイオセンサを作るには、GaNをペプチドで被覆する。ペプチドは物質表面に化学結合しているアミノ酸の連鎖。これらのペプチドは、分子と結合することによって特定の被検体の存在に反応する。
これは、放射線照射したときに、GaNが発する光強度が変わると言う考えで、この光強度は表面のペプチドに結合している被検体の数に依存する。これによって研究者や臨床医は、生体系の異なる分子の存在をモニタすることができる。しかし、事は言うほどに簡単ではない。
「GaNバイオセンサ開発の決め手となる課題は、細胞のような水性環境や放射線に晒してもペプチドを安定に保てる方法で、ペプチドをGaN表面に結合する技術を見つけることだった。それができたのである」と材料化学・工学助教授、Dr. Albena Ivanisevicは説明している。
論文の筆頭著者、Ph.D.学生、Nora Berg氏によると、ペプチド結合は二段階。まず、リン酸とホスホン酸の組合せでGaNをエッチングし、表面に安定な「キャップ」作製。次にキャップ内のホスホン酸に関連するペプチドを付着させることができた。
ペプチドの安定性を確認するために研究チームは、被覆GaNを水溶液に入れ、次にその溶液を動物組織を真似た「ファントム物質」に入れた。GaN、溶液、ファントム物質を次に、臨床状態で考えられる域を超えた高いレベルの放射線に晒した。次に、ペプチド、GaNそのものの劣化があるかどうかを評価した。
「ペプチドは表面に残っていた。水溶液が、その表面に酸化膜を形成していたが、これがペプチドの機能に影響を与えている兆候はない」とBerg氏は言っている。
「このアプローチによって、この材料に機能的、安定的なペプチド被覆を造れることを示したので、次にわれわれは粒子形状の開発に進む。これは、注入可能であり、材料のセンシング機能の生体外実験に道を開くものである」とIvanisevic氏はコメントしている。