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構造化照明顕微鏡、前立腺ガンの断端を検出に有望

April, 5, 2024, Washington--新しい臨床試験の結果は、手術中に前立腺ガンの断端を検出するための構造化照明顕微鏡(SIM)の可能性を示している。この機能により、外科医はすべてのガン組織を確実に除去することができ、ガンの再発を減らし、治療成功の可能性を高めることができる。

SIMは、パターン化された光をサンプルに投影する広視野光学セクショニング蛍光顕微鏡法。得られた干渉パターンは、従来の顕微鏡法よりも高い解像度で画像再構成に使用される。同様の技術と比較して、SIMはより高速な表面イメージングを提供するため、大きな組織サンプルの高解像度画像をほぼリアルタイムでキャプチャするのに特に適している。

新しい研究は、SIMが実現可能であるだけでなく、術中の腫瘍縁イメージングに十分な速度と精度も示している。
2024年4月7日~10日までフロリダ州フォートローダーデールで開催されるOpticaのBiophotonics Congressで、テュレーン大学(Tulane University)のIvan Bozicが研究内容を詳しく説明する。同氏のプレゼンテーションは、4月10日(火)8:00-8:15(米国東部時間)に予定されている。

「ほとんどの場合、外科医がガン性腫瘍を切除する際、腫瘍の端にあるガン細胞の存在に気づかずにいる。これらの細胞は微細で肉眼では見るには小さすぎるからだ」(Bozic)。
その結果、手術後に患者の体内に腫瘍が残ることがあり、これは数日または数週間後までわからないが、手術を修正するには遅すぎるため、残りの腫瘍が増殖する可能性が残る。手術中に腫瘍端を顕微鏡レベルでリアルタイムスキャンできれば、外科医は患者の残存腫瘍を特定して除去し、患者の転帰と予後を改善することができる。

新しい研究では、研究チームはSIMを使用して、ガン治療のために切除された172の前立腺の表面画像を取得した。顕微鏡システムの分解能は1.3µm、1フレームの視野は1.3mm x 1.3mmだった。研究チームは、二乗則検出再構成アルゴリズムと分析的偽色アプローチを使用して、画像の再構成と発色を行った。大きな画像パネルがスティッチングでつなぎ合わせされた。

チームは、マルチスケールイメージングを1㎠/分、それ以上の速度で実行できると報告した。これにより、前立腺表面全体(患者1人あたり最大60㎠をカバーする10ギガピクセル以上のデータ)を1時間未満で画像化できるようになった。

研究チームは、SIM法を使用して、臨床的マージン表面で組織学的に確認された陽性の手術断端(ガン細胞がまだ存在するマージン)を検出することができた。また、このアプローチにより、従来の組織学的分析では見えなかった陽性の外科的切除断端を特定できることも示された。

研究チームは現在、患者の転帰を分析して、調査結果の正確性を検証している。

「われわれの研究は、手術中に腫瘍表面をスキャンするためのSIMイメージングアプローチの実現可能性と潜在的な臨床的有用性を実証した。現在および将来の取り組みは、デバイスの速度と自動化を改善し、手術室での日常的な臨床使用を広く実用化することを目的としている」とBozicは話している。