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EPFL、心臓と肺を監視・調節する単一ニューロンの特定

April, 1, 2024, Lausanne--EPFLの神経科学者は、心臓と肺を調節する脳の深部構造に単一のニューロンを見つけた。この成果は、脳と身体のシステムが、両方の重要なバイオリズムを自己制御する仕組みを明らかにした。

体はホメオスタシスと呼ばれるプロセスで自己調整し、脳は体のすべてのバイタル信号を常に監視しているため、これに関与している。たとえば、より多くの酸素が必要な場合、脳にメッセージが送信され、呼吸と心拍数を調整するように体に指示する。しかし、呼吸や心調律を調節する神経細胞は、脳外科手術時の脳記録技術のために、これまで直接観察されることはなかった。

EPFLの神経科学者は、ウェストバージニア大学ロックフェラー神経科学研究所(West Virginia University Rockefeller Neuroscience Institute)とノースカロライナ大学チャペルヒル校(University of North Carolina at Chapel Hill)の外科医および神経科学者と共同で、人間の脳の奥深く、2つの視床核と視床下核にある単一のニューロンが、心臓と肺からの重要な生理学的信号をエンコードしていることを示し、ヒトにおけるこの最初の直接的な証拠を提供した。この研究成果はPNASに掲載された。

「体内の臓器と脳の間の神経接続は、希少な動物実験と既存の解剖学的研究に基づいて仮説が立てられていた」と、Olaf BlankeをリーダーとするEPFLの認知神経科学研究所の筆頭著者であるEmanuela De Falcoは説明している。「われわれは、心肺シグナルがニューロンの大部分に影響を与えることを発見した」。

この研究の共同筆頭著者、Marco Solcasは、「これらのニューロンの位置を特定することは関連性がある、つまり、この身体と脳のコミュニケーションが脳深部でどのように起こっているかを明らかにするからである」と続けている。

身体と脳の間のコミュニケーションは、視覚検出、感情調節、意思決定などに影響を与えるため、いくつかの重要な認知的および感情的プロセスにも関連していることが知られている。身体と脳のコミュニケーションの機能不全は、不安、気分、摂食、心身症など、様々な精神疾患の重要な特徴として認識されている。

脳深部刺激療法による希有の機会
この研究は、脳神経外科医でウェストバージニア大学ロックフェラー神経科学研究所所長のDr. Ali Rezaiとの共同研究により、様々な病状を治療するために脳深部刺激療法(DBS)の手術を受けた患者の単一ニューロンの活動を記録することで、数年にわたって実施された。

DBSは、電極プローブを介して脳の深部にあるニューロンを刺激することで構成されている。プローブを挿入する前に、脳神経外科医は、DBSプローブがその後挿入される脳内の場所を改善するため、脳に微小電極を一時的に挿入し、脳活動の記録を行うことを選択することがある。以前のプロジェクトと同様に、EPFLの科学者チームはこれらの微小電極の記録に可能性を見出し、心電図を同時に監視する機会をつかみ、ニューロンの活動と様々な心臓および呼吸信号の結合記録を取得した。

「これらのニューロンがどこにあるかがわかったので、近い将来の研究は、脳の皮質下領域における心拍数と神経活動の間のフィードバックループメカニズムと、自己意識と運動意図または自由意志への関与を理解することに焦点を当てることができる。より一般的には、この研究は、脳の理解、また、より広く精神疾患の理解に向けた、いくつかの将来の開発の基礎を築くものである」とDe Falcoはコメントしている。