November, 25, 2014, Cambridge--MITの化学チームは、生きた動物で同時にMRIと蛍光イメージングの働きをするナノ粒子を新たに開発した。このような粒子は、体内で造られた特定分子の追跡、腫瘍の環境のモニタ、あるいは薬剤がターゲットに到達しているかどうかを判断するのに役立つ。
論文では、研究チームは、蛍光とMRIセンサを持つ粒子を使用してマウス体内のビタミンCの追跡を実証している。粒子は、強い蛍光シグナルを示すがMRI造影はほとんどない。もしビタミンCがそれほどなければ、MRIシグナルがもっと強く見え、蛍光は非常に弱くなる。
MIT化学准教授、Jeremiah Johnson氏によると、粒子の将来バージョンは、病気と関連する反応性酸素種を検出するように設計できる。また、一度に1個以上の分子を検出できるようにも変更すると言う。
「特定の生体分子を感知できるイメージングプローブがあると、どのように病気が進行しているかについてもっと分かるようになる」とJohnson氏は言っている。
研究チームは、窒素酸化物、有機MRI造影剤またはCy5.5、蛍光分子のいずれかを持つポリマ鎖でできた構成要素から組み立てるように粒子を設計した。
所望の比率で混合するとこれらの構成要素は結びついて特定のナノサイズの構造を形成する。論文の著者は、これを分岐ボトルブラシポリマと呼ぶ。この研究では、鎖の99%が窒素酸化物、1%がCy5.5を持つ粒子を作製した。
窒素酸化物は、不対電子で酸素原子に結びついた窒素原子を含む反応性分子。窒素酸化物はCy5.5の蛍光を抑圧するが、窒素酸化物が電子を奪うことができるビタミンCのような分子に出遭うと、不活性になり、Cy5.5蛍光になる。
研究チームは、センサがビタミンCのようなターゲット分子に遭遇したときに得られる信号差を強めようとしている。また、蛍光造影剤と3つまでの異なる薬剤を運ぶことができるナノ粒子も作った。これにより、ナノ粒子が目標とする位置に配送されているかどうかを追跡することができる。
「それはわれわれのプラットフォームのメリットである。われわれは、望むものをほとんど何でも混合、整合、追加することができる」とJohnson氏は言う。
これらの粒子は、患者の腫瘍における酸素ラジカルのレベル評価にも使える。これによって腫瘍がどの程度活発であるかについての貴重な情報が明らかになる。
「この種のプローブによって腫瘍環境についての情報が明らかにできるかも知れない。いずれ、これを患者に注入し、疾患部位、健全組織について生化学的なリアルタイム情報が得られるようになる可能性がある」とJohnson氏はコメントしている。
クイーンズランド工科大学のナノテクノロジーおよび分子科学教授、Steven Bottle氏は、「この研究の最もすばらしい点は、2つの強力なイメージング技術を1つのナノマテリアルにまとめたことである」とコメントしている。
「これは非常に強力な、代謝的に連結したマルチコンビネーションイメージング法になると見ている。生体内の病気の進行を実際に追跡する、極めて有用な診断ツールとなる」と同氏は話している。
(詳細は、www.mit.edu)