September, 29, 2023, Sydney--シドニー大学の生物医学エンジニアは、ケンブリッジ大学とハーバード大学の科学者と協力して、タンパク質凝集体がナノスケールでどのように形成されるかをモニタするための高度な光学技術を開発した。
脳および神経系に影響を及ぼす多くの疾患は、細胞内における液体形態の凝縮物から、タンパク質凝集体または固体凝縮物の形成に関連しているが、このプロセスについてはほとんど知られていない。
この液体から固体への移行は、いわゆるアミロイド線維の形成を引き起こす可能性がある。これらはさらに、アルツハイマー病などの神経変性疾患を引き起こすニューロンにプラークを形成する可能性がある。
シドニー大学の生物医学エンジニアは、ケンブリッジ大学およびハーバード大学の科学者と共同で、これらのタンパク質凝集体が形成されるプロセスを近距離でモニタするための高度な光学技術を開発した。
天体物理学者のStephen Hawking教授に影響を与えた筋萎縮性側索硬化症(ALS疾患)に関連するタンパク質をテストすることにより、シドニーのエンジニアは、このタンパク質の液相から固相への移行を注意深くモニタした。
「これは、神経発生性疾患が根本的な観点からどのように発症するかを理解するための大きな前進である」と、米国科学アカデミープロシーディングス(PNAS)に掲載された研究の筆頭著者、Dr Yi Shenはコメントしている。
「現在、これらの重要なタンパク質の液体から固体への移行をナノスケールで直接観察することができる」と、生物医学工学部のシニア講師、シドニー大学ナノ研究所メンバー、Dr Daniele Vigoloは話している。
相互作用するタンパク質凝集体
タンパク質は、ヒト胚の形成など、さまざまな重要で健康な生体機能において、液から液への相分離中に定期的に凝縮物を形成する。このプロセスは、タンパク質濃度が重要な生化学反応を助け、健康なタンパク質間相互作用を促進する。
「しかし、このプロセスは、固体タンパク質の不健康な凝集体がヒト細胞に形成される機能不全凝集のリスクも高める」と、化学および生体分子工学部のARC DECRAフェロー、Sydney Nanoメンバー、Dr Shenは話している。
「これは、神経変性疾患に関連する異常な構造につながる可能性がある。タンパク質が液体形態に戻る急速な可逆性を示さなくなるためである。したがって、凝縮液の動態は病的状態に直接影響するため、監視することが重要だ」(Dr Shen)。
このプロセスの世界初のナノスケールの光学的観察により、チームは液体から固体タンパク質への移行がタンパク質凝縮物の界面から始まると断定した。相転移へのこのウインドウは、これらのタンパク質凝集体の内部構造が不均一であることも明らかにした。
Dr Vigoloは、「われわれの発見は、基本的な観点から神経変性疾患の理解を大幅に向上させる見込がある。
「これは、アルツハイマー病とALSが脳内でどのように発症し、世界中の何百万人もの人々に影響を与える方法をよりよく理解するための有望な新しい研究分野である」と話している。